◯質疑(村上委員) 

警察官の労務管理等について、何点か質問します。
これまで、委員会でAI、ドローンの最先端技術の活用及び互助会や寄附金による被害者支援センターの運営を含め、警察官の負担軽減ができないものかという視点で質問させていただいております。警察職員は不規則で長時間の勤務時間、厳格な上下関係や弱音をはけないなどから鬱病の発症率が高く、最も厳しい職業性ストレスにさらされていると言われております。実際、海外の警察官の鬱病の発症率は非常に高い状況にあります。
 そこで、広島県警察の職員において、長期休業者のうち精神障害での長期休業者の人数はどのくらいいるのか、また、割合はどの程度なのか、お伺いします。

 

◯答弁(警務部長) 

国際的な疾病分類の基準であるICD-10において、精神及び行動の障害とされる疾病で長期休業した職員は令和3年度中は29人であり、長期休業者全体の約5割となっております。

 

◯質疑(村上委員)

29人で、長期休業者全体の約半数ということでした。
次に、職場におけるストレスチェックに関してですが、精神的に追い込まれないように定期的にチェックすることが必要だと思っております。厚生労働省が公表している無料でチェックできるものなどがありますが、広島県警察におけるストレスチェックは、いつ、どのようなやり方で行われているのか、お伺いします。

 

◯答弁(警務部長)

県警察におきましては、全職員を対象とした労働安全衛生法に基づくストレスチェックを年1回、毎年6月頃に実施しております。この実施時期でありますが、採用や人事異動などで環境変化が大きいと考えられる4月を基準におおむね2か月を経過した時期を設定しているためであります。ストレスチェックの方法でありますが、厚生労働省により推奨されております職業性ストレス簡易調査票57項目を使用して実施しております。

 

◯質疑(村上委員)

こういった形でストレスチェックをしているのですが、やはり29人出ているというところからも、数字が出た後、どのように追いかけていくのか、どのように周知させていくのか、そして、どのように関係医療機関などといったところにつなげていくのかがすごく重要だと思いますが、そちらもまた詳しく教えていただければと思います。
 それで、先日新聞に、2014年の広島の土砂災害でも警察庁が個別にメンタルヘルス担当の職員を送り支援していたと載っていました。惨事ストレスについては警察庁が支援体制を強化するということですが、実際に求められるのは、県警察が、平素の業務において常勤職員に対してメンタルヘルスケアアドバイザーなどの体制を整備することです。そういったところ、どのようになっているのか、お伺いします。

 

◯答弁(警務部長) 

県警察における体制といたしましては、常勤の保健師3名が職員からの相談に応じるほか、精神科医師を産業医として専任し、メンタル不調の職員や上司に対する助言等を通じて適切な支援につなげております。また、外部機関によるカウンセリングルーム、電話健康相談、心の専門医といった相談窓口を設けて、それらを周知して職員が相談しやすい環境整備を行っているところでございます。

 

◯質疑(村上委員) 

新聞にも記載されていた内容というのは、僕も国に問い合わせたのですけれども、正直、国の体制についてはないよりはましという感じが否めないというか、災害が起きて、終わってから何か月後にそういうようなものがあったりだとかで、ちょっとどうなのかと思ったのですけれども、県警察の対応を聞いて安心しました。
 しかし、若者の離職率の高さを考えたとき、今の時代の風潮として、昔と違って、公務員だから、警察だから、終身雇用だからというものが、もう働く理由にはなっていないような気がするのです。過去のような体育会系的な指導や対策は、ただストレスを積み重ねるものなので、科学的に医者や専門家の意見を聞くという組織体制にしていく必要があると思っております。
 そこで、職場復帰についてお伺いします。
 残念ながら精神障害で長期休業をせざるを得なくなった方に対して職場に復帰する手続が定められていることと思います。大阪府警察では、職場復帰支援実施要領というものがあると聞いておりますが、恐らく広島県においても同様のものがあると思っております。
 そこで質問ですが、詳細な流れまでは結構ですけれども、精神障害で長期休業した方が職場復帰する流れや手続についてお伺いします。

 

◯答弁(警務部長) 

県警察では、まず、職員が療養中のときは、医師の指示の下、療養に専念させるとともに定期的に職員の療養状況を把握するよう努めております。職場復帰に向けては、厚生労働省等が作成しております、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きに沿って、本人の主治医の判断を踏まえ、おおむね1か月、元の職場等において試験的に勤務を行う職場リハビリテーションを実施して、職員の不安の軽減や円滑な職場復帰、その後の再発防止に努めているところでございます。
 また、医師の助言を踏まえ、必要に応じて外部機関が行う復職支援プログラムを活用し、職場の上司、健康管理スタッフが連携を図りながら職場復帰を進めていくこととしております。

◯意見(村上委員) 

最後に私からの意見ですけれども、精神障害で長期休業した方は、リハビリとはいえ、職場に来ることが困難な面があるのではないかと思っております。精神疾患の要因として大きく2つに分けられております。1つ目は、組織内部の業務や習慣、風土の問題の場合。2つ目は、人間不信によるコミュニケーションの問題の場合です。


 今後の検討として、業務や組織内部での問題の場合はテレワークを推進すべきで、人間不信、コミュニケーションが難しい場合は、ほとんど人と調整を要しない、数字や書類等の事務処理業務からならし運転などを進めていきながら、同時にオンライン相談も充実させるべきかと思っています。やはり電話が大きなハードルの一つだったりもするので、このオンライン相談も考えていただけたらと思っております。人的資源が枯渇する時代だからこそ、時代に合わせた働き方による仕組みと同時に、職場復帰へのスキームも考えるべきだと思っております。


 警察職員の方々は、詳細は控えますが、きれいな仕事は少なく、誰もやりたがらない仕事、危険にさらされる仕事も多いです。その上、心ない人からの苦情や批判など、ストレスが高い仕事ということは容易に想像ができます。さらに、どうしても私たち40代、50代の世代の感覚が抜けない。現場百回だとか、靴をすり減らせという精神、諦めないという精神の根幹は必要だと思うのですけれども、同時に、警察には業務、捜査の進め方を変えるべきだと思う案件が多岐にわたり存在すると思います。だからこそ、私は、防犯カメラなど、今までだったら警察がずっとチェックしていかなくてはいけなかった労務を、AIで追いかけていくように変えていくことだとか、最新技術を生かして警察官の労務負担軽減を図る質疑をしてまいりました。警察職員が業務を効率的に改善し、心身ともに健康で、治安維持に力を注げるようにすることが、県民の安心・安全の社会につながると信じております。私も微力ながら協力させていただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。これで私の質問を終わります。