『電力難民企業』


電力契約が出来ず大手電力のセーフティネットに駆け込む企業が急増しています。未契約法人に必ず電気を届ける最終保障供給の件数が4月で4098件に及ぼす。
新電力と契約する企業は安定供給を求めて大手電力会社に切り替えに走った。
ところが大手は原子力発電所の再稼働が進まず火力発電所トラブルも抱えて供給余力に乏しく、新規契約分は取引所から調達せざるを得ない中で安定供給を確保できないと判断し8法人が法人新規契約を事実上止めている。
新電力や大手電力会社と契約できない法人が最終保障に流れ込んでいる。

最終保障の料金は通常なら自由料金より割高な設定だが足下では燃料高で顧客に提示できる価格水準より最終保障の方が安いという逆転現象が起きています。

未契約の法人が正式に契約するより最終保障の方が料金を抑えられるモラルハザードが起きている。これまで最終保障は企業向け標準価格の1.2倍で示し各配送電会社が料金を決めていたが電気の仕入れ値相場を料金に反映させるなど料金設定方法を改め、逆転が起きないように持続可能な制度に改めている。

落札した電気料金も1キロワット当たり平均28円で前年同月比の16円から12円上昇。
資源高騰から最終保障供給に駆け込む地方自治体もある。
経産省の電力・ガス取引監視委員会は最終保障は拒めないと見解示し、実質的に供給義務を負う電力会社は制度主旨から外れた申し込みでも応じコストを被らざるを得ない。

反して太陽光電気でつくった電気が余る事態が各地で頻発しています。
大手電力4社が再生可能エネルギー発電事業者に太陽光発電出力を抑えるよう要請した。
GW大型連休は多くの企業が休むために電力需要が減るので再生エネを無駄にしないために送電網の整備が急務だ。

出力要請は特に春と秋起きやすい。
再生エネ普及とそれに伴う送電網の整備の遅れだ。
21年度再生可能エネルギー電源構成のうち9.3%となり5年前の2倍超になった。
地域を超えた送電網は未整備で送電線容量は現在の2倍に増やすには3兆8000億円から4兆8000億円投資が必要だ。
蓄電池を電力系統に組み込む仕組みで電気が余る時間に蓄電池に電気を貯め、高い時間帯に電気を売る事で事業者にとって蓄電池の収益を見通しやすい状況を創るべき。

原発再稼働を考えた時にロシアウクライナ侵攻で輸入価格は一段と高騰し、東京標準料金で8月電気代9000円台ガス代は6000円台なり合わせて15000円は前年比4000円高となる見通し。
原油・ガス・石炭化石燃料年間輸入額は21年に17兆円だったが原油が1バレル当たり50ドル上昇し、他の燃料と連動すると22年比の13%増となり消費税にして5%相当分の所得が海外に流出する事となる。
日本の電源比率20年度は原子力は4%程度で稼働しない分、液化天然ガス39%、石炭31%に頼る結果となり、脆弱性を示しさらにCO2排出が他国に比較しても厳しい状況下にある。原子力規制委員会は原発再稼働に関して再稼働してるのは10基、設置変更を許可されたのは7基、再稼働申請中なのは10基、未申請は9基となる。
政治の先送りは考えねばならない。