【商工関係質疑】

○要望・質疑(村上委員) 

まず、広島県の経済動向で、以前、飲食に関して質問させてもらったときに、総務省の統計局、家計調査で、広島市内の約98世帯の調査データを使用していました。
今回、大手飲食店の情報閲覧サイトに変更していて、広島県全体でより分かりやすく、数値がどのように落ち込んでいるか分かりやすくなっていると思うので、本当にこういったところから少しずつ変化していて、ビッグデータへの移行の方向に持っていっていただけるように改めて要望としてお願いします。

 それでは、まず1つ目の質問ですけれども、広島県はスタートアップ・エコシステム拠点都市に選ばれています。他県と比較して、広島県は何が違うのか、教えてください。
 

○答弁(イノベーション推進チーム担当課長(イノベーション環境整備担当))

委員御指摘のとおり、スタートアップ・エコシステム拠点都市に令和2年7月に選定されております。この拠点都市は、内閣府が、日本の強みであります優れた人材、研究開発力、企業活動、資金などを生かした世界に伍する日本型のスタートアップ・エコシステム拠点の形成を目指して、地方自治体や大学、民間組織などのコンソーシアムに対して、全国で8か所を認定したものでございます。

 

この選定の際に評価された点は、本県地域の産業界、大学、金融機関などと共に取り組んできましたイノベーションを起こす人材育成やベンチャーキャピタルとタイアップしたスタートアップ企業の成長を加速させるためのプログラムの実施、その成果を発表するイベントの開催、そして、起業家同士が切磋琢磨する場として開設したイノベーション・ハブ・ひろしまCampsでの取組などが評価されたものと聞いておりますが、加えまして、ひろしまサンドボックスのプロジェクトでチャレンジする実証フィールドを提供する取組などが本県の特徴であると考えております。
 

○質疑(村上委員) 

他都市のところで見ると、ユニコーン企業がどういうふうに、何社つくったとか、企業数の目標の設定ばかりだったのですけれども、私がすごく、広島県はすばらしいと思ったのが、イノベーション創出拠点事業として、利用者数5万人という人に重点を置いていることでした。他都市のように企業数を目標にしても、こういったベンチャー企業だとかIT企業というのは、ある程度成長すると、最新の技術と人がつながる環境として、やはり大都市部に移動していくのが現実なのです。広島県では、関係県民や関係企業をつくり、そこで雇用創出や新しい技術の創成、地域課題の解決を通して様々なイノベーションスタートアップを構築するのが正しい選択だと思っております。

 そこで、イノベーション創出拠点、目標5万人とありますが、コロナ禍により、オンラインなどでの利用などにかじを切っていくと思いますが、利用状況についてお伺いします。
 

○答弁(イノベーション推進チーム担当課長(イノベーション環境整備担当)) 

イノベーション・エコシステムを形成するためには、ビジネスや社会課題の解決など、様々なことにチャレンジしたい起業家が集まって、互いにつながり、情報、資金などを得ていくことが重要だと考えて、この活動目標を設定しました。活動拠点でありますCampsにおける令和元年度から令和6年度の延べの利用者人数を5万人として設定したものでございます。新たな成長産業を生み出すためには、イノベーションが次から次に生み出される環境づくりが重要であり、そのような環境には、チャレンジする起業家が集まり、切磋琢磨する場が必要だと考えています。そうした活動の中から、成長する起業家、スタートアップなども生まれてくるものと考えています。

 なお、この目標値はコロナ禍前に設定したために、実際に来場して参加される人数を想定しておりましたが、昨年度来、コロナの感染のために、施設利用を閉鎖していたこともあり、利用者数は現在大幅に減少しております。しかし、これまで交流イベントや人材育成プログラム、各種セミナー研修がオンラインでも配信できるよう、プログラムの内容や運営を見直したことから、オンライン参加者は増加してはきております。しかし、令和3年度5月以降、閉館などが続いており、一般の来場者数は引き続き少ない状況でございます。

 こうした状況から、利用者数につきましては、コロナ禍前の令和元年度は1万人余りでございましたが、令和2年度は3,300人余り、さらに令和3年度は12月の時点で4,600人余りでございます。ただ、令和3年度につきましては、オンライン参加者が約半数を占めている状況でございます。引き続きまして、交流イベントやセミナーに限らず、相談対応や会員の情報共有などにつきましても、オンラインを最大限活用し、つながりの場や事業創出の機会の提供に努めてまいりたいと考えております。

 

○要望・質疑(村上委員)

そうですね、オンラインが約2,200人増えているというところで、私はまだ5万人という目標設定をしたとしても、むやみに人と関わる5万人の設定というよりは、やはりリピートでどんどんつながっていって、深くつながっていくことで、やっと事業創出ができると思うのです。だから、重要な視点はリピート率であって、そういったところを重要視していただきたいと思っております。

 次に、スタートアップ時に関する質問をお伺いしたいのですけれども、イノベーション・ハブ・ひろしまCampsに金融機関、IT系人材含めて、どういった職種の人たちが参加しているのかお伺いします。

 

○答弁(イノベーション推進チーム担当課長(イノベーション環境整備担当)) 

Campsの会員の属性ですけれども、トータルで約2,400人の会員に登録いただいております。そのうち金融機関、ベンチャーキャピタルなどのいわゆる金融系の登録は85名、IT系が約300名、それから、コンサルタントが140名などとなっております。この会員登録をされている方々が皆さん、サポーターという登録をされているわけではありませんが、現地で対応しておりますコーディネーターのネットワークなども含めまして、利用者のニーズに応じて適切な専門家をつなぐといったサポート対応を行っているところでございます。


 

○要望・質疑(村上委員) 

スタートアップで一番大変なことは資金繰りや資金調達であって、今後、都市銀行などは副業などを認めていったり、あと1割削減していく話も出ております。そういった中、現在、85人の金融機関の人たちがつながっているということでありますので、アフターコロナで雇用調整助成金の打切りや、各種補助金がなくなって、金融機関対応も厳しくなると同時に、倒産や廃業も増えていくことが予想される中で、金融機関でつながっている人たちの知見をこういったところで生かすことなども考えるべきではないでしょうか。

 さらに、ファイナンスの問題や資金調達もそうなのですけれども、お金を借りずに資金調達をするベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、補助金各種、クラウドファンディングなど、様々な形でお金を融通する専門家なども、広島県は大手の監査法人トーマツといったところもコーディネーターとして配置しているので、このようなところの活用もしっかりとよろしくお願いします。

 前回の質問でもさせていただいたのですけれども、D-EGGSは地方においては大変興味深い発想で、社会課題解決を有する素材が豊富にあるので、広島県がスタートアップの最良の県として認識される環境インフラを、いわゆる資金もそうですし、人も整備をよろしくお願いいたします。

 次に、コロナ融資で条件変更を行った場合、金融機関における債務者格付が低下して、後日、追加的な資金調達が必要となった場合に不利になる可能性があるということです。そうした問題意識から、債務者区分に影響を与えないような特例的な措置期間の延長措置を県として国に要望していることは承知しております。しかし、私が考えているのは、それらの支払い状況などをきめ細かく理解し、情報共有しているのかということです。

 そこで、個人情報ではなく、広島県がビッグデータとして返済状況の把握など、広島県企業の資金繰りなどが分かるようなシステム連携や管理はしているのか、お伺いします。
 

○答弁(経営革新課長) 

新型コロナウイルス感染症対応資金は、民間金融機関の融資の仕組みを活用した制度のため、個々の金融機関が融資利用企業の資金繰りなどを管理しており、県とのシステム連携は行っておりませんが、利子補給事務に伴う金融機関からの報告や信用保証協会からの業務報告等により、返済状況や条件変更、代位弁済の発生状況などについて情報共有を行うとともに、金融機関等との定期的な情報交換を行い、現状の把握を行っているところでございます。


 

○要望(村上委員) 

もう最後は意見で終わらせてもらうのですけれども、情報共有はしているけれども、システム連携はできていないということです。これは何が言いたいかというと、ビッグデータの集積で、こういったものをしっかりと活用することです。どういった施策を次に打っていくのかというところがすごく重要になってくると思うのですけれども、ただ、これらをいきなりデータサイエンスだとかビッグデータで統計分析だとかをしていくのはなかなかプロでも難しい話でありますので、外部人材や民間のノウハウを活用して自動的にAIが分析までしていくことで、職員にとっても働き方改革の一因になると思いますので、こういうところも御一考をお願いします。

 そこで、私は12月定例会でも質問を行ったのですけれども、EBPMという証拠に基づくデータ収集と分析を重視した施策を企画立案すべきで、統計分析やデータサイエンスを使った専門的なマーケティングで、先ほどもお話ししたように、なかなか一朝一夕にできる技術ではないからこそ、商工労働局が幅広く経済データを取り込むなど、ビッグデータ解析などを進めていくべきだと思います。そして、本日は、広島県下の企業の状況が瞬時に読み取り、施策に生かされる環境づくりと、ベンチャー支援のための資金調達なども質問させていただきました。まだスタートしたばかりで、こういった事業に関して、いろいろ注文をつけて申し訳ないのですが、ぜひとも現段階で他都市より先進的かつ差別化して進めているITベンチャー環境をより具現化していただきますことを要望して、終わります。