『125円日銀オペで拍車』
『巨額財政赤字のリスク』
『家計債務の増加』
『バリュー相場来るか?』
『変われぬ日本株・買われる好機』
『金融教育、重要になった背景は?』
『独立財政機関設立へ議論を』

『金融を深く学ぶ環境を整える』

『東証再編、海外基準に堪えるか』


『125円日銀オペで拍車』

10年物国債利回りが日銀が上限とする0.25%上限に上昇したために日銀は複数日にまたがって国債を決まった利回りで無制限に買い入れる連続指値オペ(公開市場操作)を初めて実施すると発表。長期金利を抑え込む姿勢を表明したため利上げを進めるFRBとの方向性の違いが意識された。
2015年黒田総裁は1ドル125円に下落した時にこれ以上の円安はありそうにないと発言したために同水準が黒田LINEとして意識された。
資源高が重なり、円安は輸入物価上昇を通じて国富の流出を意味する経常赤字に繋がる。

 

『巨額財政赤字のリスク』


長期金利はほぼゼロのままで巨額な政府債務に対する市場からの警鐘は一向に聞こえてこない。日銀による国債大量購入しているからだが国全体の資金フローの観点からは政府の資金不足を民間の余剰金が補うという構造的案問題がより重要だ。

危機時に政府の資金不足が急拡大する局面は何度もあった。
そのたいに企業の内部留保を中心に民間資金余剰が拡大し、金利が上がる事なく子に全体の資金需給バランスが保たれてきた。

今回は政府の資金不足を家庭が補う形でバランスが保たれた。
20年度政府資金不足は50兆円で19年の13兆円から大幅増加した。
同時に20年度家計資金余剰が50兆円で19年度の15兆円から大幅増加した。
家計の預貯金の増加は一時的な可能性が強くリベンジ消費が拡大すれば家計の資金余剰は減少し、コロナ下で保たれていた資金需給のバランスは一気に崩れ金利は上昇する。

金利が上昇すれば銀行に巨額な評価損が発生し負の連鎖がもたらす。
万が一を常に想定して取り組むべきだ。

 

『家計債務の増加』

債務の拡大は消費を後押しする一方、金融引き締めなどによる金利上昇局面では債務負担が増大し、延滞率上昇などで経済不安がくすぶる要因になる。
家計債務の住宅ローン占める割合は米国72%英国78%日本62%だが世界家計債務6400兆円でコロナ前に比較し12%増えた。
家計債務が全体債務の25%を占めており、企業と政府が残りの半分ずつを占める。
金利上昇と共にとてつもない状況に政府も個人も差し迫る事を理解してほしい。

 

『バリュー相場来るか?』


米金融引き締めから日本株の値動きが続いています。
米国長期金利の上昇を受け急速にグロース成長株からバリュー(割安)株への資金シフトが起きています。
2022年に入り基準厳しく見直すと脱落する銘柄が出てきたとグロース株の評価見直しが起きています。
過去にバリュー株が優位な時には新興国経済に勢いがあったがバリュー株相場に移るにはそういったきっかけが必要ではある。
今後の成長期待が高い東南アジアはコロナの封じ込め政策やワクチン接種率の低さから経済回復が遅れています。
こうした懸念材料が22年以降に和らぎ、経済回復し始めたときが本格的なバリュー株になるがそのころに投資を動いても遅い。何事もタイミングだ。

 

『変われぬ日本株・買われる好機』


世界株式市場はグロース(成長)株からバリュー(割安)株への本格的シフトに向かう。
欧米は最高値をつぎつぎと更新したが日本は最高値の3割近く低い水準にとどまり東証一部上場企業でPBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなり、日経平均予想はPFR(株価収益率)は14倍弱で米国S&P500に比較して23倍と格段に低い。
石油危機にも耐える財務体制構築が経営者の最優先課題とする日本人経営者と英国など海外は企業は債務を増やしても成長投資を優先すべきの考え方の違い。
現在日本企業の内部留保は480兆円となり過去最高を更新しこの間の日本の労働生産性は先進国最低になっています。

デジタル化・脱炭素への投資により少子高齢化に対応した労働生産性を向上させ企業を成長軌道に乗せる最後のチャンスだと認識させる必要がある。

 

『金融教育、重要になった背景は?』

2022年度から高校の家庭科で金融教育が本格的に行われるようになった。
背景には民法改正で成人年齢が引き下げられ18歳から金融取引を自らの判断で行う事が出来るようになった。

戦後日本の金融教育はお金を節約して銀行に預ける【金融教育=貯蓄増強】であり、金融教育はむしろ余計な資産運用を行わせないための洗脳活動の側面もあった。
そうした側面から一変し、資産運用も重要となれば国民に戸惑いがあるのも当然だ。

これまでは銀行がリスク転換機能を十分に発揮し、貸し出しもするし、株式持ち合いを含め株式保有もする。負債と資本一体で企業価値を包括する金融仲介を実現していた。
したがって銀行にお金を預けさえすれば【貯蓄から投資】を事実上実現できるマクロ構造にあったが企業は資金余剰に転じて、銀行は株式を一方的に売却する。
銀行に預けた資金の多くは日銀当座預金や国債購入に向かいリスク転換機能の不全が懸念されている。

金融教育の必要性は銀行機能の変質、預金の位置づけの転換があった。
家計の資産運用だけではなく、同時に日本の金融の在り方・銀行を中心とした金融ビジネスモデル全般にわたる転換がある事を確認する必要がある。

 

『独立財政機関設立へ議論を』

2025年度1兆7000億円の赤字だが26年度には2000億円の黒字になるらしい。
実現可能性に疑問符がつく前提条件ばかりで試算されている事が問題だ。
多くの経済協力開発機構加盟諸国は健全な財政運営を議論する為に国会や会計監査員など政府から独立して客観的データに基づいて経済を分析する【独立財政機関】を設立する。

米国では政策効果を大きく見せたいとする政府と可能な限り見積もりに徹する米議会予算局とのスタンスの違いが国民に分かりやすい論点となり議論を助ける。
英国でも予算責任局が設立され最近ではコロナ対策として雇用策の税源見積もり甘さを指摘し予算は修正された。
財務相も財政健全化に役立つなら反対する理由はないはずだ。

 

『金融を深く学ぶ環境を整える』


4月から高校生の家庭科授業で預貯金・株式・債権・投資信託と言った金融商品の特性と仕組みを学ぶ。小手先ではない深い【お金】の知識を得る機会としなければならない。
背景には社会の高齢化があり、ひとりひとりの個人が長期視点に立ち、資産形成する必要性が高まっているからだ。

4月から成人年齢が18歳引き下げも金融取引トラブルに巻き込まれる懸念が強まっている。
2019年学校で金融教育受けた回答は7.2%に留まる。必要なのは早くから人生を展望して資金計画を立てられる教育する事だ。
教育機関と金融機関は密な協力して学びの環境を整えてほしい。

住宅や教育費にどれほどのお金が必要か?老後の生活費をいかに見積もり用立てるのか?
老後の不安が頻繁に話題になる折、中身のはっきりしない投資商品が魅力的に映る事は誰にでもありうる。
中高年の学び直しも金融教育でのお金について学び直しも必要ではないか?

 

『東証再編、海外基準に堪えるか』

時価総額を国別にみると1位は米国4800兆円、銘柄数629、銘柄平均7兆6000億円
2位日本時価総額450兆円、銘柄数259、銘柄平均1兆7000億円
3位英国時価総額310兆円、銘柄数81、銘柄平均3兆8000億円
日本は銘柄平均では米国の4分の1、英国の2分の1に留まる。
時価総額1兆円を物差しにする投資家もいる中でプライム市場の最低流通時価総額100億円はグローバル視点からも小さい。