『円安怠った変革が競争力を失う』
『円128円黒田発言空振りで金利差拡大止まらず』
『貿易赤字定着の懸念2年ぶり転落5兆3000億赤字』
『原油対策に一長一短』
『日銀緩和策見直しの条件』
『成長無き預貯金滞留』
『米国金利で世界に試練』
『円安は本当に悪いのか』

『製造業円安恩恵が薄く』


『円安怠った変革が競争力を失う』


利率の低さから企業は生き残りやすい環境を醸成した。
国内産業の競争力の停滞があり、かつては円安になると外貨建て販売価格を下げて輸出を増やせた。現在は企業が生産拠点を海外にシフトし、円安でも国内からの輸出は増えない。

有力企業の生産や研究拠点が海外に移り減少した国内では残らざるを得ない企業が残り、製造業全体の生産性低下を招いた結果、円安による輸入コスト増をモノともしない付加価値の高い製品やサービスを国内で生めなくなった。
国内個人金融資産は2000兆円でそのうち1000兆円は現金だが海外に逃げていくリスクがある。

 

『円128円黒田発言空振りで金利差拡大止まらず』

動けない日銀を見透かす市場でやりたい放題の状況。
急速な円安はマイナスと財務大臣や黒田総裁がけん制したが効果は長続きしなかった。
米国3%で金利差拡大が円を押し上げていく。
長期金利は米国が年初から1,3%ドイツで1.0%日本では0.18%となっている。
にちぎんは輸入価格の高騰が原因の物価上昇は一時的な見方で大規模な金融緩和を続ける構えを未だに崩していない。
【日本は原料を輸入し製品を輸出する加工貿易の国】と言われてきたが、最近の輸入は1位原油、2位液化天然ガス、3位医薬品、4位半導体、5位通信機とハイテク製品が並び、スマートフォンからコロナワクチンまで輸入品になっている。
輸入額は2月8兆円を超えているが現在は輸出も7兆円あるが不安定な国際情勢を反映して輸出が伸び悩みエネルギー価格が高止まりするようなら、貿易赤字は相当な水準に膨れ上がる。


日銀の超金融緩和政策が始まってまもなく10年近く円安というぬるま湯につかっている間に日本の産業競争力が低下した。
以前は通信機器は典型的な輸出品目であったし医薬品の輸出入もほぼ拮抗していた。

世界仲が原油高や穀物高のインフレを抑え込もうと金利を上げようとしている中で2%物価目標達成まで金融緩和を続けるという方針。
投資家は無金利の円を売り、金利がある通貨だけで利ザヤが撮れるから世界で唯一金利がない通貨を売るしかない。

日銀が緩和をやっても物価目標が達成でき藍野は雇用の流動性が無いから賃金が上がらない構造上の問題。
市場は日銀が円安容認で急激なスピードに懸念しているだけで、何もできないと見透かしています。手の内を明かした金融政策で世界中の投機家が自国通貨を買って円を売るだけでその金利差で儲かるからレバレッジをかけてトコトン攻めている感じです。
今後、原油高と円安で輸入品の高騰は補助金程度で到底補えない。

 

金融政策の見直しで円安を防ぐと財政が危うい。
GDP比の債務残高は米国133%、英国108%、日本は256%とギリシャを超える。
10年で長短の国債残高280兆円増えたのに金利が上がらなかったのは日銀が国債保有を460兆円積み増して吸収した。
結果として日銀の金融政策は市場ではなく政府債務穴埋めに組み込まれた。
金利が1%上昇した場合、25年度元払いは3兆7000億円増える。
金融緩和を続ければ低利で国債を発行でき補助金に回せる一方で円安が進み、次の物価高対策を迫られる。

アベノミクスでは金融緩和と円安で輸出企業収益拡大と株高で経済を支え成長戦略を描いたが日本の潜在成長率は0.1%程度だ。

世界中が原油高と穀物高のインフレを抑え込もうとする中で日本だけが2%物価目標達成まで金融緩和を続けるという方針から世界で金利がない通貨を売るしかない。

日銀が緩和をやっても雇用の流動性が無いから賃金が上がらない構造上の問題だが手法の見直しも改善改善のレベルで行くから技術と体制が追い付いていないミスマッチの状況が続く。
今後は原油高と穀物高・円安で輸入品の高騰によって補助金では補えないレベルです。

 

『貿易赤字定着の懸念2年ぶり転落5兆3000億赤字』

貿易赤字が長期化する恐れが高まっており、3月貿易収支8か月連続4124億円赤字でした。新型コロナのオミクロン株型感染拡大や東南アジアからの部品調達難より国内工場で生産を増やせない供給制約で輸出の回復が進まない中資源は高止まりし、収支は赤字になりやすい傾向が続いています。

鉄鋼や半導体製造装置などが伸びて24%伸び86兆円近くだったが、輸入額はエネルギー価格上昇率33%増で91兆3000億円で貿易赤字は過去4番目に大きくなった。

 

『原油対策に一長一短』


トリガー条項は法改正が必要、価格抑制の透明性は良、対象の追加はガソリン・軽油のみ、現場負担は小売りの還付・納税事務が発生し手間暇がかかる可能性が高い。
補助金だと法改正は不要、価格抑制の透明性は✖、対象の追加はガソリン・灯油・灯油・重油、元売りの請求事務が発生する。

 

『日銀緩和策見直しの条件』

長期金利操作
1:短期政策金利を操作(今の水準はマイナス0.1%=マイナス金利政策)
2:長期金利を誘導(今は0%だが上下0.25%程度の変動を容認)
3:長短金利操作は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続する為に必要な時点まで継続。
4:政策金利は現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準での推移を想定

量的緩和
1:長期国債購入などでマネタリーベース(資金供給量)を拡大
2:この拡大方針を消費者物価上昇率(除く生鮮食品)の実績値が安定的に2%を超えるまで継続。

質的緩和
1:上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などを購入
2:ETFは年12兆円、REITは年1800億円相当の残高増加を上限に必要に応じて購入

長期金利の上昇を抑制する為にあらかじめ指定した利回りで無制限に国債を購入する【指値オペ】を行うと日銀が公表した。円安は〇円高は✖というのは1971年8月15日ニクソンショックにより戦後長く続いた固定相場制が崩壊して以来わが国で一貫して持たれてきた通年です。
石油・原油価格が高騰する中で円安は輸入価格を押し上げる。
身近な消費財価格に対する素材高の転嫁が拡がっています。
インフレは所得水準が低い人の生活に直撃しGDP6割を占める個人消費をさらに冷え込ませる。いつかやらなければならない超低金利政策からの【出口】を準備する時がきた。
それは大経済氷河期時代が来るという事だ。

 

『成長無き預貯金滞留』


コロナで個人消費は鈍く、現預金は過去30年で2倍に増えた
金融資産は前年同期比で4.5%増の2023兆円、現預金は1092兆円と全体の54%。
他国の金融資産と現金比率は米国1割・ユーロ圏3割・日本は5割。
金融資産のうち投信は20.4%増の94兆円と過去最高だが主因は株式相場の上昇です。
過去30年米国年収は2.6倍、ドイツ・フランス2倍、日本は4%は低成長・・・。

 

『米国金利で世界に試練』

FRB資産は4兆ドル→9兆ドルになった。
世界株価時価総額67兆ドル→107兆ドル
米国月間破産申請件数1859件→1088件
世界債務260兆ドル→303兆ドル
先進国債務185兆ドル→207兆ドル
新興国債務75兆ドル→95兆ドル
企業債務76兆ドル→88兆ドル
今後高インフレ退治でFRB資産9兆ドル→6兆ドル=新興国・企業・市場に打撃
今後22年に7回利上げを想定し保有資産を減らす量的引き締めに入る。
FRBは23年には3%弱まで政策金利を上げるので課題債務の国も企業も利払い負担増。

 

『円安は本当に悪いのか』


年初102円台から年後半115円台になり円安・ドル高トレンドが続いた。
円安になれば日本が輸入する価格が上昇する。
原油など資源価格の上昇による原材料高が企業収益や家計を圧迫する。
日本の賃金が上昇しない中で円安により日本が貧乏になっているのではないか、日本から海外に旅行する際の購買力低下を嘆く向きもあるだろう。

10年ほど前に日本企業の【6重苦】が話題になり、円高により日本産業の空洞化懸念があった。日本企業が収益改善してもなお人件費圧縮をつづけてきたのは根強い円高不安があったからだ。


 

『製造業円安恩恵が薄く』

資源高と円安で原材料の調達費が上がり企業収益が落ち込む。
コロナからの景気回復シナリオは描きにくい。

東日本大震災が起きた11年度の海外生産比率は18%から23%になった。
22年度はドルに対して1円円安が進むと0.43%経常利益が押し上げられる。
リーマンショック後は0.98%だったので半減になっている。

ブリヂストンやパナソニックは1000億円を超える減益要因。
ヤマハは631億円減益要因で円安押上効果270億円を上回る。
花王は110億円減益でおむつ値上げや特売の削減で80億円を補う。
ニトリは1円円安で20億円減益。東京製鉄は電気代が製造コスト1割弱。6~9%値上げで対応。