11月の警察・商工労働委員会において,名古屋市で進められているAIを活用したパトロールの導入検討や、大阪府警では、110番通報の際に直ちに場所の特定が可能となる「現在地認知システム」があり、交通標識20万本、電柱18万本などの計38万本に番号が記載されたシールを貼り、110番通報した人がその番号を言えば現在地が特定されることで、平成30年大阪北部地震の際に多くの通報を受理するオペレーターの対応がスムーズに行われたことを紹介しました。
 

これらはAIパトロール600万円、認知システム650万円で導入ができます。

警察行政としても,DXの取組を推進するなかで、先端技術の一つであるドローンの活用については有効との認識ではありました。

大規模災害時の現場での情報収集について,ヘリコプターの映像を活用するにしても警察官の安全や費用対効果等を考えれば現場でドローンの活用が必要なのではないでしょうか。

 

そこで、土砂災害等の大規模災害における現場活動は大変苦労されていると思いますが、救出救助等の際の必要な情報収集について、現状においてどのように行っているのか、また、その情報について県・消防・海上保安庁・自衛隊等とどのように共有しているのか、警察本部長に伺います。

 

《執行部答弁》

警察本部長 】

情報収集活動につきましては,通報者や現場に赴いた警察官から,現場の状況,被災者,連絡が取れなくなった方などの状況を確認しております。
また,災害が広範囲に及ぶ場合や現場の状況により,警察官が近づくことが困難な場合などには,県警察のヘリコプターを活用し,上空から現場の状況を確認しております。
次に,関係機関との連携状況などにつきましては,県警察で本年3月から運用を開始いたしました,県内 全域の災害関連情報を容易に集約,分析できる災害警備システムが,広島県防災情報システムとデータ連携しておりますので,県警察で災害発生を認知した時間や場所などにつきましては,システムを通じて情報共有が可能でございます。
このほか,関連情報を認知した際などに,電話連絡を行い,速やかに情報共有しているところでございます。
さらに,被災状況などを踏まえまして,必要に応じて広島県や各自治体などに警察官を派遣し,派遣先の関係機関と情報共有を行うこととしております。
加えて,現場においても,消防,海上保安庁,自衛隊の 各機関と効率的かつ速やかな現場活動を行うため,合同調整所を設置し,救出救助などに必要な情報を共有することとしております。
県警察といたしましては,災害が発生した際には,引き続き,通報者や現場に赴いた警察官から必要な情報を迅速に収集し,先ほど説明させていただきましたシステムを効果的に活用などいたしまして,広島県をはじめとする関係機関と情報の共有化を図り,現場においても緊密に連携し,県民の皆様の安全確保に努めてまいります。

【質問】

 

さきほど話した現在地認知システムの標識活用は、豪雨災害が毎年起きている広島では県警110番もスムーズに進み、活用次第では消防の市町・県警・自衛隊の国と災害時に連動する事が出来ます。

また、将来的には、災害弱者に関する情報も災害情報システム等と連動させて共有することで、限られた時間内における円滑な救出救助に効果があるのではないでしょうか。

そこで、災害が発生してから72時間を超えると命の危険が急速に高まる中で、デジタル化した避難行動要支援者名簿の活用は市町でどの程度進んでいるのか、健康福祉局長にお伺いします。

 

《執行部答弁》
【健康福祉局長 】
避難行動要支援者名簿につきましては,災害対策基本法に基づき市町村に作成が義務付けられており,本県では全市町において作成済みでございます。
一方,名簿の提供につきましては,避難行動要支援者本人の同意が得られなければ,消防機関,警察,自主防災組織等の避難支援等関係者に提供できないことになっております。
しかしながら,例外として,市町村長は,災害 が発生し,又は,発生
するおそれがある場合において避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときには,本人の同意を得ることなく名簿情報を提供できるものとされております。
現時点では,県内市町においては,デジタル化された名簿情報について,流出・拡散の懸念などから,市町と他の関係機関との共有は進んでおりません。
このため,受け手側のセキュリティ対策が十分に担保されていることなど,提供可能な範囲について,市町の意見を聞きながら整理してまいりたいと考えております。

【質問】

 

まず、デジタル化した避難行動要支援者名簿の活用は72時間の壁を超えるために必須ではありますので県がリーダーシップを発揮して頂くようお願いします。

 

 

次に、広島県は、安否不明者や行方不明者の氏名等の公表について、原則、広島県災害対策本部が「救出・捜索に資する」、「住民基本台帳の閲覧制限がない」、「家族等の同意」の3条件を満たす場合に限り公表するという方針ですが、大規模災害時などは家族等の同意がなくても広島県災害対策本部の判断により,公表ができることになっているところです。

 

 

 

そこで、広島県災害対策本部がどのような考え方に基づき、大規模災害時における氏名等の公表を判断されるのか、危機管理監に御所見をお伺いします。

 

《執行部答弁》
【危機管理監 】


災害時におきましては,プライバシーに配慮しつつ,安否不明者や行方不明者の氏名等を公表し,救出が必要な方を絞り込むことで,迅速な救助活動を実施することが重要であると認識しております。
昨年度,県では氏名公表に当たっての方針を取りまとめ,大規模災害時などにおきまして安否不明者や行方不明者が多く,家族 の特定や同意取得に時間を要し,迅速な救出,捜索活動に支障が生じかねない場合には,家族の同意がなくても県災害対策本部の判断により公表することとしたところでございます。
この方針に沿って迅速で効率的な救出,捜索活動につなげてまいります。


【再質問】
大規模災害の定義についてお聞きします。

【危機管理監 】
大規模災害につきましては,被害の程度やその広がりが著しい災害がこれにあたるものと考えております。
具体的には,同時多発的な被害が広域に発生した平成30年7月豪雨災害であるとか,今年,熱海市でござい ました土砂災害など,死者 ・ 安否不明者 ・ 行方不明者が多い災害を想定しているところでございます。

【質問】

続いて、災害時における情報収集活動等を行う警察官・自衛官等の二次被害を防ぐためのドローン活用についてお伺いします。

都道府県によっては,ドローン関係の民間会社や団体などと協定を結び,大規模災害時に撮影を依頼するなどの事前の対策が取られています。

しかし、この方法では,「民間の方が災害時に極めて危険な現場に行ってくれるのか。団体の方が被災した場合に対応ができるのか」

といった不安があり,そこは公務員としても対応できるようにしておく必要があると考えます。

 

加えて,ドローンの活用は決して災害時だけではありません。

平時の県の業務においても、施設・橋梁・砂防ダムなどの管理点検のほか、本県特有の事情も含めた様々な場面での活用が期待できると考えます。

 

そこで、ドローン先進県を目指す上で、平時・有事を問わず、ドローンの保有と操縦員の育成や運用などの事務を行う新たな専門部署を早急に設置すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

《執行部答弁》
【知事 】
ドローンにつきましては,その機動性を生かし,平時から災害時まで,様々な場面において,活用が期待できるものと認識しております。
県内の各消防本部では,火災の状況の把握や被災者の捜 索などにドローンを活用しており,本年7月の大雨災害時には,三次市において,工事中の林道の法面の崩落に伴い山中に取り残された作業員の方々の状況を,備北地区消防組合が,ドローンで把握し,県 ・ 市の災害対策本部に情報共有を図り,関係者間で統一された状況認識の下,速やかな救助を実施したところでございます。
また,土木建築局では,令和2年度から各建設事務所にドローンを試行的に導入し,職員の操作研修を行うとともに,災害時の公共土木施設の被害状況の把握などに活用しているところでございます。
これらに加えまして,現在,平 常時の河川巡視や,施設の老朽化調査など民間事業者も活用したドローンの活用方法について,検討を進めているところでございます。


今後とも,ドローンを様々な場面で有効活用できるよう 市町,消防,
警察などの関係機関のみならず,民間事業者も含め,一層の連携の強化を図ってまいります。
なお,今後の運用の在り方につきましては,関係部局や関係機関などの活用状況を踏まえる必要があると考えているところでございます。

 

【要望】

毎年のように県内のどこかで災害が起きているのが現実です。

早々に市町と連携推進PTを立ち上げ、情報共有しながら災害時のドローン活用方策についてしっかりと議論して頂くことを要望いたします。