デジタル人材の確保・育成について、お伺いします。

知事は、DX行政の推進を標榜されていますが、修学旅行戦略におけるデータが未整備であったり、今年10月開催の警察・商工労働委員会の説明資料では、二人以上の一世帯当たりの外食に係る支出が広島市96世帯だけのデータであるなど、広島県のデータに関する認識や政策立案に関して疑問と不安があります。

 

そこで、EBPMという「証拠に基づく政策立案」を推進していくために、データ収集と分析を重視して施策を企画立案することが重要と

考えますが,県としてどのように取り組んでいるのか、経営戦略審議官にお伺いします。

 

《執行部答弁》

【経営戦略審議官 】
多様化 ・ 複雑化する行政課題に適切に対応するためには,問題解決に向けた施策を,エピソードや主観に頼るのではなく,前例や学術研究で示された,施策と成果の因果関係を裏付ける合理的根拠,即ちエビデンスを重要な判断要素として企画立案し,施策目的達成の「確かさ」を更に高める,エビデンス ・ ベースト ・ ポリシー ・ メイキング,EBPMの実践が重要であり,本県では,平成30年度から取り組んでいるところでございます。
EBPMの全庁的な実践に向けましては,管理職を対象としたEBPMのスキル等に関する研修、各事業局の企画担当職員や統計部門の職員等を対象としたデータ分析スキルや指標設定、ロジック構築手法などに関する研修を実施し、その受講職員等が中心となって,局内各課の施策の分析評価をサポートするといった横展開を図ることで,EBPMのノウハウ等を庁内のそれぞれの業務への活用 につなげる取組を進めているところでございます。

 

【質問】

次に、政策の担い手である「人」について目を向けてみたいと思います。

外食産業のサイゼリアは取締役が理系人材で固められているそうで、その心は、エビデンスとデータ重視の経営戦略によるものとのことです。

 

そのため、例えば採用試験で統計分析を採用科目にするとか、必須の職員研修科目で統計分析を実践したり、総務省統計局が行っているデータサイエンス入門を活用するなどして、組織内で意識レベルを高めていく必要があるのではないでしょうか。

 

そこで、現在、県ではデジタル人材の育成や能力強化をどのように図っておられるのか、また、そうした人材の能力を適切に評価し、手当てしていくことが必要になっていくと考えますが、併せて、山田副知事の御所見をお伺いします。

《執行部答弁》

【副知事 】
県庁におけるデジタル人材の確保 ・ 育成については,これまでシステム開発 ・ 運用等の業務を経験した職員の中から情報技術に精通した人材を育成するなどの取組を進めてまいりました。


加えて令 和3年度から,新たに「情報職」という専門の職員採用区分を設け,民間企業でデジタル関連の業務経験のある者等,デジタル技術に精通した人材や,デジタル技術を活用して企画立案ができる人材の確保 ・ 育成に取り組んでいるところでございます。


情報職職員には,主要な情報システムの構築 ・ 維持 ・ 管理やデジタル技術を活用した様々な課題解決などを通じて,専門技術の能力向上を図ってまいりたいと考えております。


情報職以外の職員においても,全職員を対象とし,DXに関する基本的な理解と実践意識の向上を図るため,9月から開始した「みん なのDX研修」や,統計の基礎的知識の習得を目的とした,総務省統計研究研修所の研修を活用するなど,県職員全体の底上げについても環境整備を進めているところでございます。


また,デジタル庁などが今後検討を進める公務員も含めた人材関連施策等について情報収集を行うなどし,情報職職員における適切な能力開発や評価につながるような関係制度等の研究や,専門技術を活かしたキャリアパスの構築についても検討してまいりたいと考えております。

 

【質問】
 

県庁のデジタル人材について御答弁いただきました。

データを活用し課題解決を目指す「データサイエンス」については、全国の有力大学の7割でデータ授業を必修化する動きがあります。

そのため、こうした大学で学んだ新人職員のデジタル知見と現行職員との知見に差異が生じないような対策を講じていくことがDX行政において重要だと考えますので、ご検討をお願いします。

 

続けて、お尋ねします。デジタル人材の確保・育成については、日本全体の課題であり、本県においても市町とデジタル人材確保のための研究を行っているとお聞きしていますが、その内容や現在の進捗状況について、山田副知事にお伺いします。

 

《執行部答弁》


【副知事 】
デジタル技術に精通した県や市町の人材の確保 ・ 育成につきましては,本年4月に,県と市町が共同で研究会を設置し,これまで3回の研究会に加え,全市町に個別にヒアリングを行うなど,必要な人材像や現状,課題について意見交換を行ってまいりました。
その中で,内部育成する際の情報技術の継承、外部人材の活用におい ては,単独自治体での雇用が困難等の課題が明らかになったところです。
今後はこれらの課題解決に向け,引き続き,デジタル人材の確保や育成手法、デジタル人材の評価基準を含めたキャリアパス等について,今後の取組にかかるスケジュール感も含めて,県・ 市町共同で検討を行い,取りまとめてまいります。

【質問】

 

 

このデジタル人材の確保について、私は、なかなか一朝一夕には解決しない問題であると思っています。

民間企業は、短期で能力が高い人材を高額な人件費を支払って雇用しますが、県庁などの公務員の組織においてはそういった形で雇用するのは困難と言えます。

さらに公務員は基本的に文系が中心の組織と思っておりますが、そういった上司がデジタルサイエンティストを果たして育成できるのでしょうか。

また、地域でデジタル人材を確保・育成していく難しさも指摘されているところです。

そこで、こうした様々な困難に対して、私は公民共同出資の事業体を創設し、オール広島となってデジタル人材確保と育成事業を

手掛けるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 

《執行部答弁》

【知事 】
デジタル人材の確保・ 育成は,民間企業にとっても,行政にとっても,DXを進めていく上で克服しなければならない重要な課題であると認識しております。
特に,県や市町におきましてデジタル人材を確保 ・ 育成するためには,給与やキャリアパス等の処遇、組織内部での育成にも課題もあることから,地域においてデジタル人材を確保・ 育成する方策も含め,どのような策をとればよいのか,県と市町が共同で検討してまいりたいと考えております。

 

【要望】

まずは職員、そして市町の意識レベルを向上させていく事からだとは思いますが、知事の判断にご期待し、公民共同出資の事業体でデジタル人材の採用と育成・配置を戦略的に進めて頂く事を要望いたします。