[警察本部関係]
○質疑(村上委員) 110番通報の通信指令業務の関係など、幾つか質問をしたいと思います。
まず、当委員会における県内調査において佐伯警察署を訪問した際に、署長の説明の中で、平成30年7月豪雨災害のときは通報件数が非常に多く、その対応がとても大変だったことや、ほかの警察署では警察官が殉職するという痛ましいことがあったこともお聞きしました。私が調査したところ、大阪府警においては、110番通報
の際に、直ちに場所の特定が可能となる現在地認知システムというものを導入しておりまして、これは交通標識約20万本、電柱18万本、合計38万本に番号が記載されたシールを貼っておりまして、110番通報した人がこの番号を言えば現在地が特定できるものです。

そして、平成30年大阪北部地震で震度6を記録した際には、多くの
110番通報を受理するオペレーターの対応がスムーズに行われて、緊急時の対応における成果を大いに発揮されたとお伺いしました。
そこで質問ですが、広島県警においては、110番通報の通報場所を特定するためにどのような対応をしているのかお伺いします。

○答弁(地域部長)

110番通報の際の通報者の方の位置特定につきましては、発信元の携帯電話の位置情報を確認しているほか、通報者の方から近くの建物などの目印となる目標物を聴取させていただくなどして通報場所を特定しております。また、近くに目標物なるものがない場合など、通報場所の特定が困難な際には、電柱位置情報により場所特定を行っているところでございます。

委員御指摘の大阪府警察のシステムにつきましては、平成16年から運用されていると聞いておりますが、県警察におきましては、御説明させていただきましたとおり電柱位置情報により110番通報された方の位置を特定する方法を採用しており、道路標識による場所特定は行っておりません。

電柱位置情報につきましては、県内に敷設されました約88万本の電柱に付されました管理番号と、それぞれの位置情報を通信指令システムの地図データに取り込むことにより、通報者の方の位置特定につなげているところでございます。

○意見・質疑(村上委員)

携帯情報ですけれども、今回選んでいただいた委員会初日に通信司令部にお伺いすると、やはり500mなどの誤差があって、なかなか特定に関しては厳しいというお話もお伺いしました。広島県警では電柱88万本の番号を活用するということですけれども、110番通報においては交通事故の割合がやはり多くて、交通標識を活用することがとても効率的ではないかと思っております。

また、110番通報の受理を24時間される職員は限りある人員で、広島県全域の対応をしていることからも、広域的な大阪府警の取組を広島県警でも推進するべきではないかと思っております。
次に、コストの関係ですけれども、この大阪府警の取組では初期投資システム費用が283万円です。

そして、シール1枚9円で約360万円、合計650万円以下で初期投
資が済み、そして、大体3万枚ぐらいあるシールの貼り替えとして、3年に一度25万4,000円で済んでいるということもお伺いしております。では、広島県の取組である電柱の番号を活用するという費用はどの程度必要なのかお伺いします。

○答弁(地域部長)

電柱位置情報データにつきましては、平成30年から令和5年まで
の6年間の使用料として、NTTに約37万円を、中国電力に約15万円の計約52万円を支払って使用させていただいているところでございます。

○要望・質疑(村上委員)

今お伺いした6年間で52万円というのは、金額で見れば確かにリーズナブルですけれども、問題は6年ごとの更新で、いわゆる開発とかが行われたときには、いろいろ問題が出てくるのではないかと思っております。

そして、福山市の標識を見てみると、平成何年にチェックしたかというシールも結構貼ってあります。

 

交通標識に番号を貼るということは、そういったところからも管理面でも活用できるのではないかと思っておりますし、新聞報道にもあったように、外国人が長期滞在できるような法改正もどんどん進んでいく観点からも、これからは外国人等も増加することも予想されますし、日本語が話せても110番通報に際して場所がうまく言えない方々に対しても、ぜひともこの交通標識に番号を貼るシステムを検討していただけるように要望をいたします。


次に、災害時の対応の話に戻しますが、広島県では平成30年7月の豪雨災害をはじめ、毎年のように土砂崩れや水害等の大きな被害を受けております。災害時は110番通報が相当あると思うのですけれども、どのように優先順位を決めているのか、どういった対応をしているのかお伺いしたいのと、あと、災害時など多くの110番通
報がある場合、110番通報の場所を特定する上での課題や改善点があれば併せてお伺いします。

 


○答弁(地域部長)

 

 災害時に通報を受理する際には、人命を最優先にした対応が必要
か否かに基づきその優先順位を決めているところでございます。具体的には、第一に通報者の方の安全を確保することを最優先とし、通報者の生命、身体に危険が切迫している場合には、安全な場所への避難指示を行った上で、具体的な通報内容聴取することとしております。


続いて、高齢者や障害がある方、乳幼児、妊婦など、一人で安全な場所へ避難することが困難と考えられる要救助者でありますとか、負傷の有無や負傷の程度などを具体的に聴取した上で、優先順位を決めて対応させていただいているところでございます。


また、110番通報の通報場所を特定する上での課題や改善点などについてでございますが、思いも寄らず事件、事故の当事者となり、あるいは災害の被災者となられた皆さんは気が動転して、助けを求める際にも自分の現在地をうまく説明できないというケースが多くございます。そういった皆さんからの通報を受理した場合には、
まず、通報者の方に落ち着いて、かつ冷静に通報をしていただけるよう、110番受理者は緊張や焦りを和らげるように丁寧な聴取に努めているところでございます。

 

ほかに、過去の大規模な豪雨災害等におきましては、短時間に110番通報が集中したことにより一時的に110番がつながりにくくなる事象が生じたところでございます。

そうした点を踏まえ、あらかじめ自然災害などが予測される場合には、110番を受理する人員が不足することがないよう、事前に非番の勤務員を呼び出して待機させるなどの措置を講じ、110番の受理に支障が生じることがないように努めているところでございます。

 

今後の110番の受理に関しまして問題や課題が認められる場合には、都度、必要な対策を講じてまいりたいというように考えております。


○要望・質疑(村上委員) 

 

人命が最優先というところをお伺いしたのですけれども、大阪府警のような現在地認知システムというのは大きな初期投資が必要なくて、これが導入できれば、命を守るというところで、県内の消防や自衛隊などと協力する大規模災害時の対応にも有効活用できると思っております。ですので、広島県警として率先して検討して、広島県に提案することがすごく必要なのではないかと。

 

市町が運営している消防隊とか、国が運営する自衛隊とかもありますので、やはり広島県がやるべきことだと思うのですけれども、まず広島県警として率先して進めていっていただければと思っております。


次に、平成30年7月豪雨災害においては広島県警の警察官の方が殉職されており、今後は救助活動を行う警察官の安全を確保するためにドローンを活用するべきではないかと思っているのですが、県警としてはどのようにお考えかお伺いします。


○答弁(警備部長) 

 

県警察におきましても、危険な現場の状況を確認するためにドロ
ーンを活用することが有効だと認識しておりまして、本年8月の大雨に伴う災害対応時にも現場の画像収集に活用したところでございます。

 

また、災害対応時に消防、海上保安庁、自衛隊やその他の関係機関とドローンを活用した情報収集活動を行うことも考えられております。

 

今後もドローンを活用し、広範囲かつ多角的に現場の状況を把握し、行方不明者の捜索や警察官の二次被害の防止に努めてまいりたいと考えています。


○要望・質疑(村上委員)

 

 国からは最高級みたいなドローンが1台来ているというのですけれども、そういったものは本当に必要なのかといったら実はそうでもなくて、そこまででもないドローンでも一定の運用はできると思います。ドローンを入れていただきたいのですが、ただ問題として、教育委員会でも同じことが言えるのですけれども、物を入れて満足になり、組織体制がしっかりとできていない、運用がしっかりできていないということがあります。

 

普通に考えたら、広島県にはこれだけ海、山、川、しかも島があるので、そういったところでの公共施設の点検等にも使えますし、そして砂防ダムの土砂点検にも使えます。そういったことを考えると、やはりこれは広島県が考える課題としてやるべきではないかと私は認識しております。県警としての考えを持ちながら県と連携するとともに、DX行政を標榜する知事との緊密な連携をよろしくお願いします。
次に、過去名古屋市が政令市で犯罪発生率ワースト2位という結果を受けて、県警ではなく自治体として防犯パトロールにAIを活用しております。これは愛知警の統計である犯罪発生状況などのオープンデータや、ほかの統計である昼夜間人口密度などを活用して犯罪の発生予測をしておりまして、ボランティア等のパトロールルートをAIが設定するというものです。

 

これの利用は学区連絡協議会や防犯ボランティア団体に限定しておりまして、パトロールの履歴はグループで共有して、写真投稿機能なども入っております。

 

スマートフォンでパトロールしたい地点を登録すると、自動でお勧めルートがマップ上に表示されまして、予測したルートが過去に犯罪の起きた場所をどれだけ網羅できたか実験したところ、人間が決めたルートより30から50%多く網羅できていたとのことでした。コスト面で言えば、名古屋市予算600万円でできておりまして、現在32団体が利活用しているとのことです。


以上が自治体としての取組ですけれども、広島県に関して、警察官が行うパトロールにAIをはじめとしたDXを活用することについて、県警としてどのように考えているのかお伺いします。


○答弁(地域部長) 

 

警らパトロールにつきましては、事件、事故の発生状況を分析、その結果を踏まえ、また、地域住民の皆様の御要望等もお聞きした上で、その順路を設定して行っているところでございます。


今後はAIを含めました先端技術を活用したパトロールや治安対策についても、検討してまいりたいというふうに考えております。
○要望(村上委員)

 

 新人警官の経験不足を補う面とか、ベテラン警察官の豊富な経験
を基に行うパトロールなど、人による誤差を埋めることができる点や、犯罪発生状況の傾向から犯罪の予測、そして警察官が共有するあらゆる情報を活用してパトロールルートを加えるシステムなどを活用することで、より効果的に犯罪を未然に防ぐことができるのではないかと思いますので、ぜひともAIの導入を検討していただきたいと思っております。


終わりになりますが、本日3点お伺いしました。

標識シールを活用して効果的に通報場所の特定と緊急時対応の向上を促すこと、そして、ドローンを活用した警察官の安全管理。

この警察官の安全管理はすごく重要なことだと思っております。

 

そして、AIを活用することでパトロールを効率よく網羅すること。

標識シールは消防署や各市町の地域による子供の安全パトロールなど、警察だけではなく様々な活動に有効である可能性があると考えております。

ドローンについては、広島県には海、山、川、小島が多数存在しておりまして、先ほども申し上げたようにため池や砂防ダムなどを含めた公共施設管理の観点も含めて、ドローンの活躍する幅が他府
県よりも大きなウエートを占めていると思います。

 

AIパトロールについては名古屋市が導入しておりまして、本当は警察が中心となって取り組んでほしいのですが、
他方で広島県がDX行政を標榜するのであれば、県としても大変重要な観点ではないかと認識しておりますので、県警としても積極的に、県と議論をしながら取り組んでいただくことを要望して質問を終わります。