1:『自宅療養について』
2:『オンライン診療:初診の解禁恒久化へ』
3:『聖域診療方針巡りバトル』
4:『医療費減らぬ現役負担』
5:『高齢者医療の見直しを続けるべき』
6:『医療法人制度:非営利・剰余金の配当不可』

『自宅療養について』
東京都医師会は自宅療養者を24時間体制で遠隔・往診する仕組みを導入した。
最大1万8000人が自宅療養となり導入したが遅くなかったか?
高齢の医師にオンライン診療は難しく、在宅医療の専門医に任せる事は従来のかかりつけ医からの反発も予想された。
医師会は学術団体であって自衛隊のようにトップダウンで動く組織ではない。
会員のほとんどは感染症の専門家ではなく、病床を持たないところも多数ある。
感染防止の知見が蓄積し、医師が自主的に動くまで待つ必要があった。
今後は感染症の勉強に加え患者と接触せずに診療できる技術を身につける必要がある。

 

『オンライン診療:初診の解禁恒久化へ』
原則:かかりつけ医が実施
かかりつけ医なし:健康診断結果や診療録などがある場合
健康診断結果などもなし:事前に医師とオンラインでやりとりし、合意した場合

医師会の反発理由として、医療現場は受診歴がなく症状をあらかじめ把握できない場合、誤診に繋がるとの懸念が強い。
現在、遠隔診療医療機関は15%程度が登録しており初診から実施している医療機関は6%程度。
オンライン診療は患者には便利でも医療機関にはシステム投資の費用や対面診療を削って診療時間を確保したりと負担がかかり診療報酬は対面の半額程度。
そのほか診療にはアプリが必要となり高齢者には広がっていない。

『聖域診療方針巡りバトル』

財務相はより簡便且つ効果的な支援が必要として。
2割の減収であれば1点10円の報酬単価12.5円引き上げる事で、病院の事務員は補助金申請に不慣れだが診療報酬であれば迅速に対応できる。
しかし、厚労省は診療の対価でないものに支払うのはおかしい。

全国一律だ単価は国民皆保険制度の1958年から続く数千項目に及ぶ保険給付サービスの点数を定めているが、今後、全国一律単価の見直しに繋がりかねないからだ。

『医療費減らぬ現役負担』
窓口負担が2割になるのは75歳以上の後期高齢者20%にあたる約370万人だ。
現在46兆6000億円だが25年には54兆9000億円まで増える。
75歳以上伸び率は21年度0.5%から22年度は4.1%に跳ね上がる。
後期高齢者医療の財源は患者負担を除いて5割を公費・4割を現役世代の支援金・1割を高齢者の保険料で賄う。
今回の2割負担導入で25年度で現役世代負担抑制は830億円程度で保険料の伸びを1人年800円に抑えるにとどまっている。
日本と同じ社会保険方式のドイツやフランスは年齢で外来受診の自己負担割合に差を付けていない。年齢で医療費に差を付けるのは世界の非常識だ。
資産基準の導入課題として65歳以上の夫婦のみ世帯で年収300~400万円の場合貯蓄が1730万円あるが同じ年収でも40歳未満の世帯の貯蓄が300万円ほどで収入だけではなく資産でも考えるべきだがマイナンバー活用しなければ所得や資産の状況に応じた公平な負担も課題になっている。

 

『高齢者医療の見直しを続けるべき』
まず2割負担対象をもっと拡大し、原則とすべきだ。
今回の改正だけでは2割以上を負担する後期高齢者は現役世代並みの所得があって、3割負担になっている7%の人を含めても全体の27%に留まる。
22~25年には団塊世代が75歳以上に達して現役世代の負担はさらに重くなる。
そこで高齢者を一律に弱者と位置付けて手厚く支える従来型の社会保障制度で難所は乗り切れない。
窓口負担は年齢と所得で線引きしているが、今後は資産に着目した制度設計が必要だ。
高齢者の中には所得が少なくても金融資産を持っている人もいる。
収入・マイナンバーを使った改革も急ぐべきだ。

 

『医療法人制度:非営利・剰余金の配当不可』
医療法人
・都道府県許可、理事長は原則 医師か歯科医師
・非営利で剰余金配当は不可、ほぼ社団


一人医師医療法人

・常勤医師、歯科医師が1~2人、小規模の診療所も法人化
・医療法人の8割を占める

地域医療連携推進法人
・複数の法人が参画する持ち株型
・異なる法人が運営する施設を一体的に運営できる
・株式会社の参画は原則不可