広島県では、学校内にスクールカウンセラーを置く制度を設けておりますが、私の支援者などからは、中退後、何らフォローもつながりもないとの訴えを耳にします。ちなみに、学歴別に生涯賃金を比較すると、生涯フリーターだと五千七百万円、そして、男性大卒は二億七千万円、女性は二億二千万円との試算があります。ひきこもりとなってしまうと、八〇五〇問題もしかりですが、自殺、犯罪リスク、生涯独身による人口減少、消費活動への影響、自立支援に必要な予算がふえていく、影響ははかり知れません。


例えば、大阪では中退者が多く、支援が必要になりそうな生徒を早期発見し、心の課題だけではなく、中退者がニートやフリーターにならないように、知事直轄予算でスタートした高校中退・不登校フォローアップ事業は、モデル校にNPOなど外部の専門機関を入れた試行的取り組みが平成二十四年度に一校から始まり、五年後の平成二十九年度に教育長所管の事業に移管され、現在十四校で実施されております。
本県でも、さまざまな困難を有する子供や若者に対して、教育部門や福祉、雇用、警察などの構成員がそれぞれ専門的な見地からサポートしていく協議会を設けておりますが、実際にはどこまで機能しているのでしょうか。例えば、高校中退者に対し、雇用部門の一つ、地域若者サポートステーションには、中途退学者一千人弱のうち、直近年では五人しか新規登録されていないようです。これでは適切な連携ができているとは言いがたいです。
広島県教育委員会は、フリースクール実態調査をしたのだからこそ、さらに実効性を高め、真の支援につなげるためにも、NPOや民間のノウハウをフル活用するべきだと思いますが、環境県民局長に御所見をお伺いします。

 

環境県民局長(森永智絵君) 

高校の中途退学後も社会に適応できず居場所がないといった悩みを抱えた若者を取り巻く状況は、近年ますます複雑化、深刻化しており、社会生活を営む上でさまざまな困難を有する者の社会復帰を支援することは、大変重要な課題であると認識しております。
 このため、本県におきましては、平成二十五年三月に広島県子ども・若者支援協議会を設置し、行政機関の四十六機関・団体と就学、就労等を支援するNPOや民間の四十一団体が連携して取り組みを進めているところであります。
 この協議会は、全県一つの代表者会議と西部及び東部の実務者会議で構成されており、代表者会議においては、それぞれの機関、団体の取り組みを通して明らかになった課題等に関する意見交換を行うとともに、構成員による連携方策について協議・検討し、支援内容等の充実に取り組んでおります。


 また、実務者会議においては、県内で発生した具体的な事例をベースに、支援を行う上で解決すべき課題などについて、非公開で協議を行うケース検討会議や有識者を招いての意見交換等により、各団体の取り組みの質の向上を図るとともに、一般の方も参加可能な講演会等を開催して、若者の置かれた困難な状況や課題についての理解を深めていただく活動も実施しております。


 こうした取り組みにより、行政とNPOや民間団体がそれぞれの特色やノウハウを最大限に生かしながら、支援内容の質の向上や充実を図るとともに、構成団体相互の連携を深めることで、課題の発見から解決まで切れ目なくきめ細かな支援を提供し、困難を有する若者の社会復帰に向けた支援がより実効性あるものとなるよう、官民一体となって活動を推進してまいります。

 

村上栄二君 

 

お伺いしたのですけれども、実際に私の支援者で退学者になった子がいて、その子は基本的にはもう全くフォローがないという現実になっているのです、そういった声もたくさんあります。

そして、ある学校においては二十人以上の退学者が昨年出ております。そういった現状を考えて、あらゆるものを学校に委託するということ、学校の先生に任せるというのはかなり難しい時代背景になってまいりました。

だからこそ、NPOや民間団体が学校に入ることで教員の現場負担を減らす目的もあります。今年度から虐待対応などで現場が多忙な児童相談所には現職の警察官を常勤で配置し、連携を強化すると伺っております。

こういった複合的な課題を抱える子供たちがいるので、部局横断的な連携をよろしくお願いします。