8 運営会社における監査体制の整備について


 


市が持つ株式を売却する場合、すなわち、運営会社に民間の出資が入る場合や、水道料金の上限を見直すような大きな変更には、引き続き議会の関与することとなっているとのことである。また、市に残る水道事業会計に対する審議を通じて、運営会社の業務執行状況等について確認をすることも可能であり、運営権制度に移行した後も、議会によるガバナンスは十分働くものと考える。

最後に、運営会社の組織体制についてお聞きする。

水道局のプランでは、経営の主体が公営から株式会社に変わることで、契約事務を改善することができるとしている。

例えば、一般競争入札から指名競争入札や比較見積り方式への段階的な移行、小規模案件のまとめ発注、複数年契約、長期契約などを進め、契約事務の効率化、さらには契約金額の低減を図るとしている。

これらは、民間会社としては効率的な経営を進める上で、当然に行われる内容であるが、一方で、何でも恣意的に進めていいというわけではなく、手続きの透明性、適正性を確保するため、社内のルールを整備し、これを監視する社内体制を構築する必要がある。

民間企業にとっては、利用者から信頼いただく会社であるために、コンプライアンスの確保は重要な課題であるが、今後、新会社を設立するに当たって、社内の監査体制についてはどのようにしていこうと考えているのか。


(答弁要旨)


 


○ 委員ご指摘のとおり、民間企業においては、お客さまからの信頼なくして事業の継続性を確保することは困難であり、コンプライアンスの確保は、企業の社会的責任を果たすための基礎として、極めて重要な課題であると認識している。

 

○ こうした認識のもと、市が設立する運営会社におけるコンプライアンスの確保については、実施プラン案において、運営会社に求める経営理念、ビジョンとしてお示ししているとおり、法令の順守はもとより、お客さまの要請に応え、広く社会から信頼を得られるものとしていく。


 


○ 運営会社においては、株式会社組織におけるガバナンス確保の仕組みとして、機動的で透明性の高い意思決定を行う取締役会とともに、取締役の業務をチェックする責任と権限を有する監査役等を設置することとしている。


 


○ 合わせて、事業運営の透明性、健全性を確保しつつ、持続的な企業価値の向上と企業の社会的責任を果たすことが可能となるよう、CSR推進体制の一環として、業務の適正を確保するための内部監査体制を確立していく。


 


○ 具体的には、公益通報者保護法に基づく通報処理制度を設けるとともに、不当要求行為への対応やお客さまの要望にも適切に対応できる体制を構築し、運用していくこととし、委員ご指摘の契約事務についても、こうした体制の中で透明性・公正性を確実に担保していく。


 


○ なお、より詳細な制度や組織設計については、経営理念の実現に向けた明確な監査体制を構築できるよう、引き続き他の民間企業等の最適事例も検証しながら、制度・体制の構築を図っていく。


まとめ




先般の代表質問でも申し上げたが、課題が明確にある以上、今が黒字だからこのままでいいということはあり得ない。

経営形態を見直すような大きな改革は、経営体力がある今のうちにやり遂げないと、本当に困ってからでは手遅れである。

水道局においても、当然、そのような認識で、この間、運営権制度の活用に向けた検討を進めてきたものと理解している。

わが会派としては、本市水道事業の経営見通し、さらに、水道事業全体の将来展望も踏まえ、経営形態見直しの早期実現に向け取り組むべきと考えており、今回提出された条例案については、その第一歩となるものであることから、賛成の立場であると申し上げ、私の質疑とさせていただく。