1 運営権制度の活用と東京方式の違いについて


(先ほどの広田委員の質疑でも明らかとなったように、)市の水道事業は決して楽観できる状況にない。そういうところを踏まえたうえで、水道局が現在進めている経営形態の見直しプランについてお聞きする。

このプランは、PFI法の公共施設等運営権制度を活用するもので、新たに新会社を設立し、その会社に運営権を付与し、市域水道事業の運営を行わせることとしている。

しかし、この間の市会での議論では、水道局本体までを民営化するリスクを取るのではなく、東京都水道局のように、水道局本体は公営のまま、外郭団体を有効に活用しながら運営を行う方が良いのではないかとの提案もあったが、大阪市が進めるPFI法に基づく運営権制度を活用する方式と、東京都方式との違いはどこにあると考えているのか。


(答弁要旨)

○ 東京都水道局においては、定型的な業務など民間に委ねられる業務は、可能な限り民間事業者に委託しながら、事業運営の根幹に関わる、経営方針や施設整備計画の策定、水質管理などのコア業務は公営企業である水道局が、一方、コア業務以外の業務、例えば、民間事業者に委託した業務の監督指導や施設の運転管理などの準コア業務については、局が所管する監理団体(株式会社)に委託することとし、両者が人材の交流も含め密接に連携しながら、一体的に事業運営を行う体制を構築している。


○ 一方、本市が検討を進めている公共施設等運営権制度を活用したスキームでは、水道施設は市が引き続き所有したまま、新たに設立する株式会社が、水道法上の事業認可を取得した上で、事業計画の策定や施設の更新投資、運転管理、お客さまサービスに関する業務など、市域の水道事業運営全般を担うこととしている。




○ このように、運営権制度は、コア業務や準コア業務を含めた事業全体について、行政ではなく民間事業者の手により行われることが、東京都の運営方式との違いであるが、本市では、この制度を活用することにより、市が施設所有者として、水道事業の公共性についてガバナンスを確保しつつ、事業運営そのものは民間事業者となることで、組織全体でこれまで以上に効率性、生産性を高めることが可能になると考えており、厳しい事業環境の中にあっても、将来にわたり本市水道事業の持続性確保に寄与できるものと考えている。

2 運営権制度活用に向けた国の方針について


  大阪市のプランでは、事業の公共性はこれまでと同じように確保されつつ、東京都が言うようなコア業務や準コア業務を含め事業全体を民間事業者が担うこととなり、効率性という面では、公営企業で行う場合より優れた手法ではないかと考える。

  政府では、PFIの積極的推進を成長戦略の重要な項目の一つとして掲げており、昨年取りまとめられたアクションプランにおいて、26年度から28年度までの3年間を集中強化期間と位置付け、運営権方式を推進することとしており、水道については、具体的に6件の数値目標を立て、厚生労働省をはじめ、関係省庁において自治体の検討を支援する取組みが進められている。ちなみに、この数値目標は水道以外にも、下水道6件、空港6件、道路1件となっている。

  このように、政府が、水道をはじめとした公共性の強い事業を、公営にこだわることなく、PFIを推進しようとしている意図、ねらいはどこにあると考えているのか。


(答弁要旨)

○ 国においては、平成26年6月に、「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプランに係る集中強化期間の取組方針」をとりまとめ、ただ今、委員からご指摘のあったとおり、平成26年度から28年度までの3年間を集中強化期間とし、とりわけ、水道、下水道、空港、道路の各事業については、公共施設等運営権方式の事業を推進する重点分野と位置づけ、事業ごとの数値目標も掲げ、強力に推進することとしている。


○ 国が、運営権制度をはじめとするPFI事業を推進する趣旨であるが、この取組方針によると、厳しい財政状況下で、できるだけ税財源に頼ることなく、地域における事業機会の創出や効率的なインフラ運営、サービスの向上、さらには、民間投資の喚起による経済成長を実現する必要があるとし、そのためには、特に、インフラの運営権を設定し、インフラ運営を民間に全面的に委ねる運営権方式の事業を中心として、その取り組みを加速化していくことが必要であるとの認識を示している。


○ 現在、こうした認識の下、関係省庁が一体となって、その推進に向け、取組みが進められているところである。