1 組織設計の考え方について



  ただ今局長から説明のあった公共施設等運営権制度の活用、いわゆるコンセッションの導入について、詳細な実施計画がまとまったとのことであるので、本日は、これまでの基本方針から新たに加えられた部分等について、何点か確認をしたい。

まず、今回の実施プランでは、新たに設立する運営会社とその子会社も含めた組織設計の考え方、さらには、運営会社に対する市の当初出資の考え方について具体的な金額などが示されているが、これらの内容は、これまで市会でも議論のあった、市域水道事業の健全経営を担保すること、新たなビジネス(市域外事業)とのリスク分離を図るという観点に応える内容となっているのか。


答弁

○ まず、組織設計の基本的な考え方であるが、市が新たに設立する運営会社と、子会社又は関連会社との一体的なグループ経営体制を構築し、適切に役割分担を行っていくこととしている。



○ 具体的には、運営権により実施する市域水道事業については、運営会社が市と交わす運営権実施契約に基づき、公共性を担保しつつ株式会社として効率性を追求し実施していくこととし、一方、市域以外の新たな事業展開については、機動性を高める観点から、子会社又は関連会社が担うものとしている。



○ これにより、運営会社は、子会社又は関連会社が行う事業展開に対し、出資の範囲でのみ責任を負うこととなるため、市域水道事業との適切なリスク分離を図ることができることになると考えている。



○ また、市から運営会社への当初出資額については、現預金で約80億円から100億円程度、一方、現物出資として移管する資産は約30億円から40億円程度、合計で、110億円から140億円程度が妥当であると見込んでいる。



○ これは、監査法人など専門家の助言等をもとに算出したものであり、現預金については、運営会社における当面の運転資金等からみた必要額として算出し、現物出資については、業務用の車両やシステム、薬品等の貯蔵品のほか、運営会社の経営資源となる資産として、今後、事業所の再配置により遊休地となる予定の事業所用地としている。



○ このように、運営会社の設立に当たり、市が適正額を出資することで、運営会社による経営が円滑に行われ、市域水道事業の健全経営、事業持続性の確保に寄与するものと考えている。


2 将来の民間出資について



  市域外ビジネスを子会社が担うこととすることによって、市域水道事業へのリスクは相当軽減されることになると考える。

  ところで、運営会社に対する将来の民間出資について、「市が株式の一部売却を検討」として、売却の割合等について明確にしていないが、その趣旨は?


答弁

○ 運営会社については、まずは市100%出資で立ち上げることとするが、株式会社として必要なマネジメント改革、さらには、職員のモチベーション・ビジネスマインドの醸成を図るためのガバナンス改革を進めていく必要があるため、まずは、企業経営に優れた民間人材を積極的に登用することとし、事業の再構築と職員の意識改革を行ってまいりたい。



○ その上で、企業として成長、発展を遂げていくため、民間の経営機能を本格的に導入していくこととし、事業開始後3年から5年以内を目途に、市が保有する株式を一部売却し、民間資本に経営参画を求めていくことを検討することとしている。



○ 具体的な売却の方針については、市域水道事業の公共性を引き続き確保することを前提に、運営会社による事業の効率化の取組状況、管路等の耐震化の促進状況、市民の意見や社会情勢等も勘案する必要があるものと認識しているが、先般実施したマーケットサウンディングにおいては、出資に関心があるとする企業の中でも、想定する出資割合やその条件は各社様々であることから、3年から5年後に、実際の市場の意向などについて提案等も受けながら、トータルで判断すべきものと考えている。



○ なお、予定価格が1億円以上の株式を売却する場合は、条例の定めにより、市会の議決をいただく必要があることから、市会でのご審議もお願いすることとなるものである。