1 他都市への事業展開の可能性について



  水道事業の民営化について質疑をさせていただく。

中小規模の市町村では、技術者もどんどん退職を迎え、後継者不足が大きな問題となっている。

こうした自治体からの水道分野における事業委託は、

現在でも2000億円を超える規模と言われている。

今後は、これまでのような定型的な業務の委託ではなく、大阪市のノウハウ、技術力が必要とされるコア業務、つまり事業運営の根幹をなす業務の委託についても拡大していくのではないか。

そうした潜在需要、ニーズは非常に高まっていると思うが、局の認識を伺う。


(答弁要旨1)



○ 委員お尋ねの他都市への事業展開の可能性についてですが、中小規模の水道事業体の状況としては、厚生労働省が平成253月に策定した新水道ビジョンにおいても、財政不足、人材不足が深刻な状況であり、水道サービスの維持には、広域化や官民連携等による最適な事業形態の実現が必要と言われている。



○ こうした状況は、総務省の公営企業年鑑からも確認ができ、用水供給事業を除く水道事業における職員給与費は、平成19年度の約4,000億円が、平成24年度には約3,300億円と、5カ年で約700億円減少している一方で、この間の委託料が、平成19年度の1,900億円から平成24年度に2,200億円と、約300億円増加している。



○ これらから、業務の効率化などの職員数削減に合わせて、業務の委託化が進んでいることが推測され、今後、さらに職員数の削減が進めば、この職員給与費の一部が委託料に推移していく、すなわち、業務委託の市場が拡大していくとものと考えられる。



○ また、平成233月に厚生労働省が公表した「第三者委託の手引き」には、アンケート結果として、約67%の水道事業者が「今後の業務を現在の技術者で対応できない」と回答し、その対策としては、「外部への委託」が有効であると示されているなど、今後、技術上の業務について責任と権限を含めて委託する「第三者委託制度」など、水道事業全般の技術力が求められる業務委託が拡大すると想定される。



2 商社との連携について

 現在は人件費が5年で800億円削減する一方で委託費が300億円増加しています。業務委託市場が拡大していくモノであり、67%の水道事業者が「今後の業務を現在の技術者で対応できない」と回答しています。

水道局は、職員数が他都市と比べて非常に多いということで、常々、この点について克服すべき課題であるという認識を示しているが、これも、他都市との比較で単に多いということではなく、せっかくの人材を有効に活かすというように、発想を転換すればいいと考えます。



  公営のままでは、原則として、事業エリアが市内に限定されるため、職員を削減することにより効率化を進めるという志向になるのはやむを得ないが、では民間になれば職員を大幅カットできるのか?と言えば雇用はそうは簡単には行きません。しかし、民営化すれば、職員をだぶつかせることなく、市域外への事業展開に積極的に活用できることとなります。



 職員にとっても、その方がモチベーションは上がるはずです。

  ところで、この他都市への事業展開や海外も含めた水ビジネスを考える場合、十分な営業ノウハウや展開力をもっている民間企業との連携は欠かせません。
常々、私は自論として公営は運営を行うモノであり、経営を行っているとは思えません。そうかと言って公営の歴史を否定するわけではなく、公営の良いところをしっかりと発揮できる事とライフラインですから充分なリスクヘッジが必要です。



  この点、総合商社は、水ビジネスの分野については、海外案件への積極的な参画など実績もあり、意欲も高い。

 個人的には、市域水道事業の公益性・公共性を確保する観点から、市域外事業は分社化した上で、総合商社と連携すれば、可能性は  どんどん広がるものと考える。

水道局でも、マーケットサウンディングを行い、民間企業による出資の可能性や事業連携のあり方などについて、本スキームに関心のある企業の意見を聞いてきたと思うが、現時点での民間企業との連携に関する考え、方向性はいかがか。


(答弁要旨2)



○ 事業の公共性について担保することを前提としつつ、市域水道事業の一層の効率化に資すること、また、保有する水道事業ノウハウを早期に新たなビジネスに結び付けるためには、民間企業の経営ノウハウを獲得することが不可欠であり、運営会社については、既存の民間企業との関係を深めていくことが重要であると認識している。



○ そのため、現時点での方針としては、運営会社の設立当初は市100%出資とするものの、企業経営に優れた人材を外部から登用し、さらに、3~5年以内のできるだけ早い時期に、民間企業からの出資を受け入れたいと考えている。



○ 今回実施したマーケットサウンディングでは、金融機関や、製造業、建設業、水道専業会社、総合商社など、幅広い業種から協力をいただき、この中で、運営会社に対する出資や事業連携については、出資に当たっての一般的な条件、事業運営の効率化や将来の発展可能性などについて、具体的なご提案やご意見、要望等をいただくなど、多くの関心が寄せられたところである。



○ 本市としては、今回のサウンディングで得られたご意見等を参考にしつつ、冒頭申し上げた主旨が叶うよう、将来の民間企業との連携のあり方について検討を進め、今後、(実施方針案と併せ)お示ししてまいりたい。