都構想にとって大変有利な流れだと感じました。
都構想や維新マニアの人はこの結果を見るでしょうが、一般市民は住民投票という認識を深く焼き付けたのではないか?と思います。
どちらにせよ、住民投票となるとこれは政策ではなく制度の話になるので、皆さんは本気で考えて欲しいと思います。


英政府は国土の3割、人口の8%を超えるスコットランド(人口約520万人)をつなぎ留めることに成功した。
独立賛成が44・7%、反対55・3%とする最終集計結果を発表した。登録有権者数は約430万人。投票率は84・5%

独立派は、高福祉や非核化を求めるスコットランドの世論を英政府が無視してきたとの住民の不満を吸収して支持を拡大。しかし英通貨ポンドを引き続き使用できるかや欧州連合(EU)加盟の行方を明確に示せず、財政基盤とみなす北海油田の利益分配方法などでも説得力ある主張ができなかった。


歴史的な背景を見てみましょう。かつてスコットランドは独立国でした。それがイングランドと合同してイギリスを形成したのは、300年ほど前の1707年のことです。スコットランドがイングランドと合同した1つの理由として経済的な利益があります。当時、イングランドは世界中で植民地を拡大して広大な帝国を形成しつつあったので、スコットランドではイングランドとの合同は大きな経済的な利益をもたらす、という期待があったのです。
第二次世界大戦以降、イギリスが植民地を失うとともに変化が見られました。植民地独立がピークに達した1960年代に、独立を目ざすスコットランド国民党が急速に勢力を拡大したのです。また、60年代から70年代にかけて経済的な変化もありました。スコットランドに近接する北海油田が操業を開始したのです。大英帝国の利益がなくなる一方、北海油田の収益でスコットランドは独立しても経済的に自立可能である、という主張が説得力を持つようになりました


通貨についてですが、スコットランド国民党は独立後も現在のポンドを使用するとしています。しかし、イギリス政府や主要政党は、独立したスコットランドにはポンドの継続使用を認めない立場です。その結果、スコットランドは独自通貨を導入するか、ユーロを導入するかの選択を迫られますが、どちらの選択肢も経済的な混乱をもたらすことは必至です。

EUやNATOへの加盟も簡単ではありません。EU加盟についてはイギリスと同様に国内に独立問題を抱える国がスコットランドの加盟を妨害する恐れがありますし、NATO加盟についてもイギリスの核ミサイル原潜基地撤去をめざすスコットランド国民党の立場が障害となる可能性があります。EUやNATOへの加盟がスムーズに実現できなければ、独立したスコットランドは大きな不安材料を抱えることになります。

イギリスの君主制はスコットランドの独立でどうなるのでしょう。スコットランド国民党は、独立しても現国王のエリザベス女王がスコットランドの国王となるという立場を明確にしています。実は、まだスコットランドが独立国だった頃、17世紀初頭からイングランドとの国家合同に至る18世紀初頭にかけて、スコットランドとイングランドは別々の国家でありながら同じ国王を持つ同君連合を形成していました。スコットランドが独立すれば、かつての同君連合が復活することになるようです。