1 バスの民営化は待ったなしである。民営化を見据えた取組みにより、何とか31年ぶりの黒字が見込める状況にできたことは、市民負担をこれ以上、増大させないという交通局の努力の賜物である。


しかしながら、今後の経営リスクを踏まえると、早急に、バスサービスの提供を持続可能なものとするスキームの構築、すなわち民営化が必要だと認識するところである。今般、交通局では、これまでの議会での議論について、論点整理と課題に対して考えられる方策の検討を行っているが、根底には、やはり、市民・利用者のバスサービス維持に対するご不安を、いかに解消して民営化を行うのか、ということがある。


他都市においては、これまでにいくつもの民営化の公営バス事業者の事例があるとはいえ、長年に亘り“市バス”として親しまれてきたことから、やはり、市民・利用者のご不安も十分に理解できる。当然ではあるが、民営化を成功させるには、多くの市民・利用者の皆様にご理解をしていただき、民営化後においてもバスを支えていただくことが必須条件になる。


配布資料では、大阪シティバス㈱への一括譲渡と、段階的な譲渡についての論点整理、また、課題に対する考え方を整理し、その中で、一括譲渡における外部資本の注入といった考え方を示しているが、安心の担保ともう一つの重要なポイントである競争性の発揮がいかに両立できることになるのか、お聞きしたい。

答弁

○ 現在、管理委託を行っている大阪シティバス㈱へ一括譲渡することは、市民・お客さまのバスサービスの維持に対するご不安を、最も解消することにつながる方法と考える。


○ 一方で、一括譲渡により事業者が複数存在していないなかでは、「競争性の発揮」によるサービス改善やコスト削減が期待できず、交通インフラの活性化にリスクがあるなどの課題に、根源的に対応することはできない。


○ その中、次善の策として、すでに市場で競争性を発揮している民間事業者から経営陣だけでなく、「資本注入」という具体的な形で最大限経営に参画していただくという考え方をお示しさせていただいた。

競争状況の中で厳しい経営に取組んでいる民間事業者が、これまでに培っている様々な経営ノウハウを大阪シティバス㈱に反映することで、サービス改善やコスト削減、大都市にふさわしい交通インフラの活性化などが発揮され、結果として競争性の発揮と比肩できる効果が得られると考えている。



2 全国の乗合バス事業者は、平成24年度末で1,991者あり、うち公営は30者となっている。公営から民間に移管されている流れもあり、サービス向上の取組みをされている民間事業者もいるようである。


また、先程、外部資本の注入についての考え方をお聞きしたが、現に、市場競争の環境で経営を行っている民間事業者から、カネ、ヒト、ノウハウを注いでもらうことで、大阪シティバス㈱が実質的に役所の外郭団体から脱皮した民間事業者になるという点や、市民・利用者の不安を解消するといった視点から市の出資も残し、市民・利用者の安心を担保するという点は理解できる。


  しかし、民間事業者にとって出資のメリットがなければ誰も出資しない訳である。そこでお尋ねするが、民間事業者の出資メリットはどのように考えているのか。




答弁2

また、資料では民間事業者の出資率が20%以上と整理されているが、私としては、33%以上にして特別決議を単独で阻止できる状態にすることが最低でも必要と考えるが、どうか。


○ 民間事業者の出資メリットについては、地域サービス系路線については、大阪市がしっかり補助するというスキームのもと、また、事業性のある路線では、大阪市という大きな市場において、これまでの民間ノウハウを活用した優れたサービスを提供し運営することで、かなりの利益を見込むことができ、出資に対する配当が期待できるということが、まずあげられる。


○ また、交通事業者であれば、自社の路線やサービスとの連携による事業展開などの、シナジー効果も期待できるのではないかと考える。


○ 次に、民間事業者との資本構成については、バスサービスに対する安心の担保という役割を担う観点と、一方で、現に市場で競争状態にある民間事業者の経営ノウハウを最大限活用するという観点からは、各々1/2ずつの資本構成が望ましいと考えている。


○ また、連結決算の対象となり、経営上の責任をしっかり果していただける20%以上というラインが1つのポイントと考えているが、委員ご指摘の33%以上についても、1つのポイントになるとも考えられる。


○ さらに、企業経営の本質を考えると、出資者の構成も大切ではあるが、どのような経営者に参画していただけるかということも重要なことであり、これまでに健全な経営の実績がある、優れた経営能力を持つ方を招へいできるかどうかが鍵になると考える。