4 耐震化ペースアップの財源



  柴島上系の土地売却の為の費用と土地売却額はほぼトントンの見通しとなる見込みであります。

今回の水道局の民営化は上下分離であり、浄水場用地などの資産は市に残る為に都市計画に基づいて土地活用を大阪市が引き続き主導的立場で進める事が出来る事を確認しました。



また、水道局としては土地売却そのものを生み出されるメリットは見込みにくいとしても、ダウンサイジングに付随するモノとして、長期的には施設や設備の廃止に伴う維持管理費や人件費の削減効果なども期待できると思われるので、水道局は経年劣化と売れる時期を見誤らず積極的に検討をお願いします。



次に耐震化のペースアップについてお伺いする。

基本方針にもある様に現在被害想定の見直しが進められており、南海トラフ巨大地震への備えを考えると施設の耐震化が喫緊の課題である。

水需要の減少傾向が続き将来的にじり貧になる予測の中でも管路耐震化のペースアップを図っていかなければならないが、この管路耐震化のペースアップには現状ではどういった制約があるのか確認しておきたい。

まず、民営化すれば目指す事としている最大で年間80キロペースの管路耐震化を仮に公営企業のままで行った場合の経常収支の見通しについて説明頂きたい。


(答弁要旨4)

○ 水道局では、これまで、阪神・淡路大震災を契機として、管路の耐震化に取り組んできているところであるが、平成19年度から28年度までの10か年を計画期間とする第6次配水管整備事業における実績の平均では、年間55キロメートルの更新となっている。



〇 委員お尋ねの年間で最大80キロメートルの管路耐震化ペースアップについては、近い将来に発生が予想される大震災に備え、運営会社との契約期間の30年間に、耐震性の低い鋳鉄管を解消し、広域避難場所や災害拠点病院といった防災上の重要施設へのルートの耐震化を推進するとともに、管路の耐震化率を全体の3分の2まで引き上げるために必要となるものである。



○ 民営化ベースの経営収支にこのペースアップを反映させた場合、生産性・効率性の追求により、人件費の減や工事契約方法等の見直しによる事業費の圧縮など、大幅なコスト削減に取り組むことにより、30年間黒字を確保できると見込んでいる。



 一方、このペースアップを「公営企業」で行うことは、制度面や体制の面から困難であるが、仮に、これに要する事業費を「公営企業ベース」の経営収支に織り込んだ場合、退職不補充による人件費の削減をはじめ、公営企業で可能な経営改革を見込んでも、増加する事業費を十分に賄えず、将来赤字に陥ることが見込まれる。


5 耐震化ペースアップの制約



  民営化しないと赤字になるということは各ニシンしました。次に制度面や体制の面から、公営企業として管路耐震化のペースアップを目指す場合、どのような制約があるのか説明頂きたい。


(答弁要旨5)

○ 水道局では、これまで、管路耐震化を積極的に進めてきたところであり、今後との引き続き、工事に対する警察許可の協議手順の見直しや包括積算等の導入による設計・積算業務の効率化など、公営企業として出来うる限りのペースアップ方策を講じていく一方で、次に申し上げるような制約も認識している。



○ ひとつは、請負工事などの契約は競争入札が基本のため、設計・積算事務や入札に係る公示期間の関係から、どうしても民間企業における契約行為より時間を要するケースが多く、大幅な時間の短縮が望みにくいことである。



○ もうひとつは、請負工事ごとに競争入札を行うため、継続的に工事を受注している請負業者が少ないことである。実際に、平成20年度から24年度の5か年で、配水管工事の落札実績を見ると、半数以上の請負業者は5年間で1度の受注実績しかなく、このため、結果として、工事事務に関する書類の作成指導など、施工管理に時間及び労力を要することである。



○ こうした制約もあって、現行の執行体制においては、現状の年間55キロメートルから年間6570キロメートル程度のペースアップにとどまるものと考えている。


6 政府の成長戦略と市の取組みの整合性



 公営企業の定めではあるが、公平性・透明性の原則から入札制度が足枷になるということです。南海トラフ地震への備えとして、管路耐震化のペースアップに向けて、あらゆる方策を検討しなければならないが、いま説明を頂いた制約を克服して耐震化ペースアップを進める為には民営化が非常に有力な手法であるのは容易に想像がつきました。



(委員長資料配布をお願いします)

次に政府の成長戦略との整合性についてお尋ねする。

政府においても、この運営権制度の活用などによるインフラ事業の民営化は、公的負担の軽減を図りつつ、民間投資を喚起するなど、官民連携による事業の活性化、ひいては、経済の再生、発展につなげる事を目指したまさに成長戦略の要であると考えられる。



実際に仙台空港などへの運営権制度の活用については、国主導で検討が進められているが、自治体が運営する水道などのインフラ事業についても、資料で見て頂いても分かる様に公共施設など運営権制度を活用したPFI事業の具体的取組にも記されている。更に、日本再興戦略でも「コンセッション方式の対象拡大」のところに、新しい価値を生み出す経営手法として、上下水道事業への積極的導入を推進すると記載されている。・・・まさしくイノベーションであり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指します。



本市における現在の取組みも、まさに同じ理念、目的で進められているものではないでしょうか。そうであれば、政府の方針とも整合する、極めてタイムリーな取り組みと思われるが、この点について、ぜひ局長に見解をお伺いする。


(答弁要旨6)

○ 経営形態の見直しを検討するに当たっては、本市水道事業が抱える課題を見極め、それを解決する手法として何が最善かという視点で、単に民営化ありきということではなく、さまざまな経営形態について、比較検証を進めてきた。



○ 結果として、公共施設等運営権制度を活用することが最善であると判断したが、この制度は、施設を市が保有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定するものであり、民間活力の導入により事業運営の効率化、活性化を図りつつ、最終的な事業責任は市が負う仕組みであることから、水道事業にとって極めて重要な、公共性や事業持続性を確保することにもつながるものである。



○ 国においても、成長戦略の中で、この運営権制度の活用を推進しているが、我々も単に国が推進しているからということではなく、国と十分に協議を重ね、この制度を水道事業に当てはめた場合の有用性について、一つ一つ確認を行い、真に本市水道事業の課題解決に寄与するものと判断したものである。



○ 先般公表された、厚生労働省の運営権制度に関するガイドラインにも、事業認可や国庫補助のあり方など、具体的に国と協議してきた内容が反映されており、結果として、国の成長戦略の一翼を担えたのではないかと理解している。