結局女子選手はJOCの内部調査でうやむやで終わらせてしまっていました。
アメリカのスピードスケートでも同じ問題が起きました。
その時の対応の差を見てみましょう。
大きく三点あります。
1・第三者調査チームの設定と意義
日米の最も大きな違いは、告発事件の調査を利害関係のない第三者に依頼しているかどうかです。JOCは調査を全柔連に差し戻しましたが、USOCは独立した第三者に調査を依頼しています。
「トップレベルのエリート選手ほど不法行為を経験しやすい」
「不法行為は結果的に選手のパフォーマンス低下につながる」
「体罰が指導の一環であると言う考えはいかなる場合も受け入れられない」
という共通理解の元、選手やコーチ、親などの関係者に啓蒙活動を行っています。「良くある誤解」という形で虐待に関する誤った理解を正したり、ハンドブックを提供するなどの実践的な支援を実施しています。
告発で最も重要なのは、告発者(今回の場合は選手)の保護です。スポーツ組織は、告発者の身分が最大限保護されるべく慎重に調査を行うべきです。そのためには、第三者調査は極めて重要なものです。
2・推定無罪だが性悪説に立つ。
JOCは「全柔連は解決する能力を持っている」として、再調査を命じました。しかし、「告発者の保護」という前提に立つならば、性悪説に立って対処を行うべきです。これは言うまでもないことですが、性善説に立って対策を講じる場合、告発者への被害が拡大する可能性を排除できないためです。これは信頼の問題ではなく、可能性の問題です。
指導者や監督は「休職」扱いとなります。
性悪説ながら推定無罪の原則は貫かれているからです。
3つ目の違いはスピード感です。
アメリカ第三者チームは告発から2か月、JOCはすでに4か月経っています。トップアスリートの寿命は非常に短いものです。調査にいたずらに時間をかけることは、選手の寿命を削るようなものかもしれません。少なくとも、指導者に対して不信感を抱いた状態で練習に身が入るはずがありません。JOCおよび全柔連には、迅速かつ公正な調査の実施をすべきです。
スポーツの世界でも陸上や水泳のようなタイム協議で無い場合、監督のさじ加減が大きくモノを言いますし、校長先生などの管理監督が行き届かない感が否めません。
何よりもスポーツの世界において「愛の鞭が愛による無知の露呈」となっています。暴力はその人の価値観では成立しません。
今一度、桜宮高校の偏重報道における被害者保護を無視した問題をマスコミも保護者も世論も反省すべきだと思います。
人が亡くなった意味を深く内省して頂きたいと思います。