バウチャー【voucher】=引換券。割引券。金券。クーポン券。
「教育バウチャー」という単語であれば、
学費代わりに使える金券ということになります。
行政の補助金のひとつですが、公立だけでなく私学や塾の助成金としても使われています。大阪の西成特区構想の一環として実践されております。
単純に、お金を配らないのは、補助金の使用目的を限定するためです。
補助金を配る以上、不公平が発生してはいけないので、通常は誰もが利用するものになじみます。
公民館やスポーツ施設などは利用者(受益者)が部分負担するのが適切です。
保育バウチャーも有効ですね。
幼稚園、保育園、保育ママ、駅前保育…と公平かつ多様に使えます。
(応用として、社会保険料を平等に払う分野が考えられます。職業訓練や介護サービスなど。)
バウチャー制度のメリットは補助金を直接、利用者(教育バウチャーであれば保護者)に渡せることです。
従来の補助金制度ですと、学校側への資金援助でした。
間接的な援助にすぎないので、本当に市民のニーズにこたえているのかどうかはわかりません。
また、社会保障の分野への補助金は、間にはいる団体に相当中抜きされてしまっているのが現状です。
住民に「直接」、補助金を出すという点でバウチャー制度は優れています。
そうなると、今度はサービスの供給側にも変化がもたらされます。
今まで補助金に頼りきりだったところが、住民に選んでもらえるようにサービス競争が促されるからです。
そもそも補助金は、住民の血税から出されているわけですから原理原則からみても納得のいく制度です。
ただ、どんな改革にも反対意見はつきもの。
特に補助金漬けだったシロアリ団体は蟻の一穴を許すな!と畑違いの教育改革にも猛抵抗してきます。
例えば、教育の権利は平等だ、学区を守れ!学校に競争原理を持ち込むな!もし廃校になったらどう責任をとるんだ!といった意見。
順に見ていきましょう。
競争原理が持ち込まれるのは、学校の運営サイド(供給者側)であって生徒側ではありません。
従来よりも指導熱心になることが予想されますが、それは教育機関としてもちろん良いことです。
スポーツに特化したり、指導科目の専門化が進んだり、多様性が生まれることも保護者(利用者)側にとって良いことです。受験に強い学校もあれば、逆にゆとりを売りにする学校ができるかもしれません。
その中から、住民は自由に選ぶことが出来ます。
廃校については感情的になりやすい話題ので冷静な判断が必要です。
いわゆる過疎地域については医療と同様、別途、予算と対策が必要です。
マイナス収支になるのは致し方ありません。
「地域の過疎化」が根本原因であって、供給者の努力によって解決できるものではありません。
一方、都市部の供給過剰になっているケースはどうでしょうか。
こちらは従来の一律の補助金では、本来の住民のニーズに対して税金面での無駄が生じていますので、いずれ整理をしなければいけない問題です。
行政側が一方的に判断を下すより、地域住民の民意に基づいて自然にまかせるほうが合理的でしょう。
既得権益を奪われる反対派は声を大にしますが、改革の恩恵を受けるその他大多数は特に声をあげません。
政治家は、本当に国民のためになるように「声なき声」を拾っていかねばいけません。
教育バウチャー制度はその最たるものでしょう。
行政の補助金制度は一見、庶民の日常生活には縁のない話に思えますが、もともとは私達の納めた税金です。
私達自身が補助金の利用先を自由に選べるようになる、そして学校をはじめ補助金を受け取る側に努力してもらうのは当たり前のことです。
「教育バウチャー制度」、今は耳慣れないこの言葉が早く定着する世の中になればと思っております。