税制大綱で軽減税率を閣議決定しなかった事で、消費税10%時点と同時に軽減税率の導入は不可能だと思われます。

「議会」に詳しい人、「システム」に詳しい人はいますが、同時に「両方」に詳しい人はあまりいないのでマスコミには気づかれていないようですね。


消費税の軽減税率を導入するには、軽減税率用のシステムの導入が必要です。なぜなら、日本はEUなどと違いインボイス制度がないため、それと同様なシステムを作ることが必要だからです。

今回の税制大綱で軽減税率を盛り込めば、

①2014年3月に国会で関連法案成立

②システムの入札・設計・普及に「18か月」かけて

③2015年10月の10%税率時に導入

これは可能な選択肢でした。


しかし、今回の税制大綱に入らなかった事で、

国会での関連法案成立は

 2014年3月→2015年3月 になりました。


さて、システムの実施には

1、軽減税率の詳細な制度設計

2、税制大綱

3、関連法成立 ←  ※この時点で2015年3月。残り6か月に

4、RFI(情報提供依頼書)

5、RFP(システム提案依頼書)

6、提案書・見積書

7、業者選定

8、契約締結

9、システム要件定義

10、システム方式設計

11、ソフトウェア要件定義

12、ソフトウェア方式設計

13、ソフトウェア詳細設計

14、プログラミング

15、システムテスト

16、運用テスト

17、受け入れ

18、税務署での導入

19、すべてのスーパー、流通業などで新システム導入

20、この時点で、2015年10月。


となります。3~20を6か月間は無理!!

 最大の問題は、仕入税額控除のシステム上、小売以外の全企業に新システムの導入が必要なこと!

 「インボイス制度を作らなくても、仕入れ分は標準税率でいい」という意見があるが・・・その場合、大企業は問題ないが、簡易課税制度を使う中小企業のみ圧倒的に不利になり、商工会などは猛反発します。「大企業は軽減税率、中小の仕入れは軽減なし」で、全国の中小企業が怒り出せば、安倍政権が崩壊するので絶対にやりません。

 つまり、10%時点で軽減税率を入れるには、今月の税制改正大綱での閣議決定が必要だったのです。

 あとは、どのくらい遅れて導入できるかが論点になりますね。システム設計の入札業者が決まるまでは、開発を進められないのですが、内々で決めて先行するというのも難しいと思います。さらに、全企業へのシステム導入の補助金を大量かつ短期間に出すことでどれだけスピードを上げられるか?ただし、中小企業で資金繰りの厳しいところはしんどいかもしれませんね。