本日、政府は福島第一原発のALPS処理水を海洋放出する方針を決定しました。

 

 ALPS処理水は、汚染水からトリチウム以外の放射性物質の大部分を取り除いたもので、汚染水とは異なるものです。トリチウムは水素の仲間であり、水道水や食べ物、私たちの体の中に普段から存在しています。規制基準を満たして処分すれば、環境や人体への影響は考えられません。

 

 福島第一原発の廃炉の安全・着実な進展は、福島の復興の大前提です。今後、廃炉作業を本格的に進めていくためには、大きなスペースが必要となります。タンクが敷地を大きく占有する中、廃炉と復興のためにALPS処理水の処分は避けては通れない課題です。

 

 海洋放出する際には、世界共通の安全性に関する考え方に基づき、トリチウム濃度が規制基準を大幅に下回るよう、十分に希釈した上で実施します。具体的には、規制基準の1/40、WHOの定める飲料水基準の1/7の濃度まで希釈し、安全性を確実に確保します。また、トリチウムの放出は世界中の数多くの原子力施設で実際に行われています。

 

 今回の方針決定後、実際の放出が始まるまでには、設備の工事や規制への対応に2年程度の準備期間が必要です。この期間を最大限活用し、安全性や風評影響をご懸念される方々に理解を深めて頂くべく、徹底的な広報活動に取り組んでいきます。

 

 勿論、海洋放出について、水産業の皆様や地元の皆様の強いご懸念があることを我々はしっかり認識する必要があります。その上で、①科学的根拠に基づくわかりやすい情報発信、②国際機関と協力したモニタリング、③水産業をはじめ風評を受けうる産業の販路拡大支援、④風評被害が生じた場合の賠償、など風評対策に万全を期さなくてはなりません。

 

 以上より、私は、今般の政府の科学的根拠に基づいた決定を支持します。

 

(繰り返しですが)その上で、水産業の皆様や地元の皆様のご懸念の声を踏まえ、風評対策や販路拡大支援などに取り組んでいくことが重要です。

 

写真は、今日の東大宮駅での駅立ちの様子です。