去る1月8日、韓国のソウル中央地裁が、日本政府に対して、旧日本軍の慰安婦だった韓国人女性らに慰謝料を支払うように命じる判決を出しました。

 

 いわゆる慰安婦問題を含む日韓の請求権の問題は、1965年の日韓請求権協定で解決済みであり、さらに、2015年の日韓合意で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認しています。また、国際法上の主権免除の原則からして、他国の裁判権に日本政府が服することはなく、訴訟は却下されなければなりません。

 

 2015年の日韓合意は、当時の安倍総理・岸田外務大臣の強いイニシアティブの基、日韓の新しい時代を切り開く、未来志向の合意として結ばれました。交渉過程には、紆余曲折がありましたが、両国関係者の粘り強い努力で、政治的に極めて重要な文書として両国間で合意されたものです。そうした両国間の基盤的合意を、「政権が代わったから」、「司法の話」といった理由で、覆すようなことは決して許されませんし、我が国として到底受け入れられるものではありません。

 

 韓国は重要な隣国であり、東アジアにおける安全保障環境が厳しさを増す中、その安定的関係が望ましいことは論を俟ちませんが、日本政府には、今後の日韓関係を正常化するためにも、国際司法裁判所への提訴など、国際法に則した実効性のある厳正な対応を求めます。

 

 写真は、岸田文雄外務大臣(当時)と共にミャンマーを訪問し、アウンサンスーチー氏と握手をする様子。