先週11月24日の日中外相会談後に、中国の王毅外相が共同記者会見のルール(ホスト国である日本の外相が先に発言し、中国が後)を利用して、一方的に尖閣諸島の領有権を主張するという事案がありました。

 そもそも尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領有権に関する争いは存在しておりませんが、近年、尖閣周辺海域における中国公船の活動は常態化しており、領有権の主張が目的とみられる我が国漁船の取り締まり等も発生しています。

 こうした活動の背景には、近年の中国の急速な軍備拡張や軍事活動の活発化があり、現実の問題として、中国軍の艦艇・航空機、ミサイルの質・量は、自衛隊の能力を遙かに超えているとも言われています。

 こうした中、日米同盟はこれまで以上に重要性を増しており、菅総理が、いち早くバイデン次期大統領と電話会談を行い、次期大統領が、尖閣諸島の日米安保条約の適用(尖閣諸島が攻撃された場合、我が国とともに米国は防衛義務を果たす)について明言したことは、非常に大きな意義があります。

 そもそも、安定した日中関係は地域・国際社会の平和、安定、繁栄にとって重要です。責任ある大国として、共に地域・国際社会の諸課題に取り組み、貢献していくことが、建設的な日中関係を築くことにつながります。

 我が国としては、引き続き、こうした中国の外交面・軍事面での一方的な振る舞いを国際社会に訴える外交活動と、中国に冒険主義的な軍事行動を引き起こさせないための抑止力を強化する防衛活動の両面を実施していかなくてはなりません。

 平和は平和を訴えるだけでは維持できません。相手の力による活動を抑止するため、自衛隊や海上保安庁の装備、人員の増強を図ることも必要です。安全保障には、与党も野党もありません。現在の我が国がおかれた国際環境の現実を直視し、国民の理解と協力が得られるよう、的確な安全保障政策を立案・推進して参ります。

 写真は、別件ですが、最近、加藤官房長官に打ち合わせに伺った際の一コマ。