最近、我が国の領土に関連する様々な事件が相次いでいます。北方領土には、ロシアのメドベージェフ首相が、竹島には韓国の李明博大統領が、尖閣諸島には中国の活動家がそれぞれ上陸しました。


 一つ一つの問題には、個々の理由がありますが、この時期に一気にこうした動きが発生したのはなぜか。やはり、この3年間、外交・安全保障の基本原則を守ることなく、場当たり的で戦略性の欠けた対応をとり続けた現政権の問題点を指摘せざるを得ません。


 我が国の安全保障の基本は、自衛隊という防衛力を適切な規模・態様に整備し、適切な場面で活用するという自助努力に加え、世界最強の軍事大国である米国との安全保障体制、特に在日米軍の駐留を確保することで、外国からの侵略を抑止し、さらにアジア太平洋地域の平和と安定を支えることにあります。



例えば、尖閣諸島の問題についても、これまで中国が領有権を主張しながらも、事実上その問題を棚上げし具体的な動きを見せてこなかったのは、この日米同盟が盤石であったことと無関係ではありません。憲法9条というある意味で特殊な国是を持つ我が国にとって、米国との同盟関係を深化・発展させることは基本中の基本です。そうした基本を抑えつつ、個別の問題については、米国に対してもしっかりと物事を言っていく姿勢が必要です。ところが、政権交代以降、総理の軽い一言によって、普天間飛行場移設問題を完全にこじらせる等、米国との安全保障体制に大きな傷をつけてしまったのです。さらに、2年前の尖閣沖での漁船衝突事故でも臭いものに蓋をする対応をとり、なにがあっても日本は強硬な対応はとらないと間違ったメッセージを発信してしまいました。



こうした日本政府の対応を見て、他の周辺国はまさに「今がチャンス」といわんばかりに対日本強国策を繰り出して来ているのです。中国、ロシア、韓国ともに、自国領土の拡張という国益を追求することで、自国民の内政上の政権への不満を対日強硬策というカードで払拭することができるようになってしまいました。このような各国の姿勢を批判することはたやすいのですが、各国が自国の国益を追求することが基本的な原則である現在の国際社会のあり方から見れば、そのような「隙」をつくってしまったことにこそ根本的な問題があるのです。


こうした現状を改善するためには、改めて、我が国の外交・安全保障の基本方針に立ち返る必要があります。つまり、第1に、日米同盟の重要性を再確認すること。第2に、領土に関する原理・原則的な対応をしっかりと再確認した上で、事件が発生した際は初動を含めて一貫した対応を行い、「ぶれている」「妥協する余地がある」と見られないようにすること。そして、第3には、民主主義などの基本的な価値観を共有する国との協調関係を再確認し、そうした国々において我が国の主張に対する理解を広げていくことが重要です。各国が対日強硬策をとっても、日本との関係を毀損するばかりで、最終的には内政上の利益も得られないという状況を作り出す必要があります。



 本来、外交・安全保障政策の原則は、政権与党が変わっても、大きく変わってはならないものです。自民党も民主党の失敗を他山の石として、政権奪還を実現した際には、我が国の領土の保全をはかりつつ、周辺国と建設的で良好な関係を築いていかなくてはなりません。



<告知>

9月15日(土) 19:00~  村井ひでき演説会

於 埼玉会館大ホール(JR浦和駅西口徒歩6分)