そういえば思い出した。自分が幼稚園の頃だろうか。隣の家が火事になって,近くの知人の家に避難した。
  祖母は目が見えなかった。だから,外に出ることは,ほとんどなかった。記憶にあるのは,選挙の時だけ外に出たこと。それ以外は家にいた。
  そんな祖母と一緒に歩いて火事から逃げた。あの時は,本当に心臓がドキドキしていた。

○隣家の火事

ベル長き電話を取れば父の声隣家の火事の迫る風下

子らふたり顕ちきて走る裏路地の落差を超えて走る折れ路

屋根の炎が我が家の玄関を照らしいて臭う煙の熱風が飛ぶ

寒空の太鼓天叩きつつ足早に消え行く闇に手を合わせおり

☆火事の心境を歌にする人も珍しい。それが個性的なのであろう。