1 航海の日々
東回り
トカルトベイ 夜の河(ヴァンクーヴァー島北方)
二八〇〇〇トン(鉱石)

月代の光る北極圏の河汐満ち遡るいざスタンバイ

樹々鳴れば野鳥の羽音鉱石の眠る樹海へ遡る五時間

時差に寝たらぬ眼こすればテーブルに身厚き北の蒸しかに料理

単発のカナダ機森に着陸す補給タバコはネイヴィカット

☆令和元年6月25日午前4時49分。父が永眠した。
がんの療養中に,父から数百種の短歌を預かった。
自分で本にしたかったのだろう。
それが出来なくなった今,息子の私が意志を継いでいこうと思う。

令和元年6月28日。父の通夜の日に。
村上幸宏