【ドラマ「寅に翼」 法のもとの不平等】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

「ハハハ、お前らが弁護士に成れるわけないぞ!」
「やーい、卒業づら(不美人)の嫁き遅れ!」
「女の分際で!!」
「ハハハハ! ハハハハハハハ!」
クズの男子法科生達が女子をあざ笑う。群れていないと何も出来ない、低能で幼稚な連中だ。
廊下を歩いていると、毎日こいつらと顔を合わせる。毎日続けば、本当にこたえる。
昭和8年。法律を学び、弁護士となる道が女子にも開けた。
されど、世間の反応は、この男子学生達と50歩100歩だった。

猪爪寅子(いのつめともこ)は、女学校在学中、嫌いやながら3度お見合いした。
3度目のお見合いの相手は、自分の考えのある女性に理解を示した。寅子は、理解してもらう好機会と、自論をとうとうと述べた。
「おい君! いい加減にしたまえ!!」
寅子は言葉を遮られ、お見合いは終わりとなった。

寅子は、結婚してよき家庭人となることに、希望をどうしても抱けなかった。
男尊女卑が普通である世の中。
今では考えられない位、女子の立場は低かった。法律で、女子は男子の庇護に置かれるものと規定されて、女子には選挙権もなかった。

大学に、書生の忘れ物を届けに行った時のことだった。寅子は法学部の先生に見出だされ、法科女子部入学を勧められた。
新たな目標を見つけられた寅子は、「六法全書」を手にして入学を待ちわびていたのだが....
入学式には60人いた女子法科生は、二年生になれば、8人に減ってしまっていた。

女学校の親友は、卒業と同時に兄と結婚して、寅子の兄嫁となった。
家には、結婚式の家族の集合写真が、品良く飾られている。
兄嫁と姑(寅子の母)は、並んで食事をしていた。
兄嫁が料理の味付けをして、姑に味見をうかがう。
「もう少し○○を増やして」
「はい」
姑に従う日々だった。

寅子が家に、女子部の友達を連れて来た。兄嫁が給仕に伺った。
「女中さんがいらっしゃるのね」
「い、いえ、兄のお嫁さんです」
「ああ、ごめんなさい!」
「私なんか...女中みたいなものよっ」
直ぐに場を取り繕ったが、それが彼女の本音だった。

それでも寅子とその友達は、生活が恵まれていた。法科女子部には、住み込みで働いて、学費を稼ぎながら、学んでいる者の姿があった。

一般に生活水準は低く、人としての権利も蹂躙されることが、はびこる時代だった。
人権を護るために、女性の地位の向上のために、寅子達・法科女子部の課題は、際限無く立ちはだかる....。



人間は、神様とは違い、不完全な生き物だ。人は集団になると、残酷なこともできてしまう。
それはそれは、理不尽であからさまな差別が、様々に存在した。

女性差別も、かつて世界中にあった。
女性の方が体格・体力が劣る。
子供を産み、母乳をあげる性である。
故に、男が外で働いて、女が家を守る構図が出来た。
私は、女性差別はこのような理由が元であると思う。
更に、こういう説もある。
男子には男性ホルモンによる、闘争(狩猟)本能の働きと、女性に勝る体格・体力から、暴力をふるいがちなために、女性の差別につながった。

ただし、男女差別には、他の差別と一線を画す点がある。
生物として、男女は恋愛するものであるからだ。
「恋は盲目」というが、男子が恋する相手の女子には、大切で可愛らしくて、何でもゆるせてしまう。恋する相手のためなら、何でも出来る。

男女間は、差別の対象であっても、恋愛の対象でもあるが故、過去には知られている程度の差別で、まだ済んでいたのだと思う。
仮に、男女の間に恋愛感情が存在しなければ、女性は奴隷位に扱われていた、と私は思う。

それはさておき、現在は様々な差別に対して、本当に意識が向上した。
悪い方にはたらくのも人間だが、向上出来るのも、また人間のもつ性質である。
人の心はマイナスの方向でなく、プラスの方向に働くものでありたい。
私は本来的に、人の性善説を支持したいと思う。

(追記)
3年間の課程を修了した寅子達は、大学法学部に晴れて入学する。
教室では、男子学生から歓迎を受ける。
プレイボーイや熱血漢や、一様に帝国大学に劣等感がある、そんな男子学生と交流して、共に理解し合えてゆく。
ところがある日、父の職場の贈収賄の疑いで、猪爪家に家宅捜索が入る。



■ドラマ「寅に翼」
 放送局;NHK
 曜日 :月曜日~金曜日
 日時 ;08:00~08:14
     12:45~12:59(再放送)
 現在放映中
 NHKプラスでも配信中