【アニメ「宇宙よりも遠い場所」】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

一度も友達が出来たことがなかった、ユヅキ。
幼い時から、テレビに出演してきたユヅキは、母がマネージャーとして管理するタレントだった。だから学校では、早退や欠席が多かった。
ユヅキにとっては、自分がタレントであることよりも、友達が欲しかった。

3人の女子がいる場に、ユヅキは同席していた。
「3人とも、親友同士なんでしょう?」
「え!?...  私達、この頃親しくなったんだよ。3人でどこかへ出かけたことも、一度も無いよ」
「そうなんだ!?」
.........
いろいろ語りあっているうちに、キマリがユヅキをハグしてきた。
(ちょっとイヤ...え!?友達ってこういうものなんだ)

その夜、ユヅキの部屋の窓が、ノックされた。3人の女子が梯子を昇って、ユヅキに会いに来てくれたのだ。
キマリがユヅキに手を伸べる。もう少しで届きそう...
手と手を繋ぎ合えた!
...梯子が後ろに倒れてゆく!?...  でも怖くなかった-

ユヅキは目覚めた。夢だったのか。
昨日自分は、友達の様になれたんだっけ...
ユヅキは、まだ夢の余韻にひたっていた。

ふと、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けると、3人の女子達の姿があった。
「これから東京へ行くんでしょう。私達と一緒に行こうよ。ユヅキさん、朝早いから間に合うように、この時間に来ちゃったよ」

ユヅキの見た夢は、正夢になったのだ。
ユヅキは、感激のあまり、涙を流した。

           (第4話より)


シラセとキマリは、南極ヘ行くことを目指していた。発起人のシラセの、母は南極観測隊員で、現地で行方不明になってしまっていた。
お母さんを探したい! お母さんの足どりを掴みたい!
また、高校生になって、何かを遂げたいと思っていたキマリ。
二人の話が聞こえていたコンビニで、バイトのヒナタが加わった。
ユヅキに出来た友達の輪とは、南極を目指す仲間達だった。

こうして、女子高校生達の南極への夢は、一歩一歩進んでゆく。



青春時代。中学、高校生時代。クラブ活動・友情・恋愛・ホームルーム・各種行事。「ああ青春」である。
青春時代でも、友情とは、とりわけ大切な位置を占めている。

ところで私は、友達のいない青春時代を過ごした。

中学生時代には、父親が同じ学校内の教員で、私は敬遠されていた。
クラスに友達が出来なかった。

高校生時代には女子の1グループと形だけ一緒だった。
長期欠席、芸大進学への挫折、ダイエットの失敗...
学年の半分の男子と、クラスの一部の女子からいじめを受けた。
同じ中学校の隣のクラス出身の幼なじみは、病気で二年間留年してしまっていた。

中学二年の時のこと。提出は自由の課題作文のテーマに、「私の悩み」という項があった。私は、友達のいない淋しさを綴った。
私は、クラスで独り、どれだけ淋しい思いをしているか。
行事があっても友達がいなければ、面白くなんか全然ない。
...でも結局作文は、提出出来なかった。

とてもまとまって団結したクラスだった。
卒業式では、ホームルームで先生もみんな泣いた。私だけ泣かなかった。
高校生になってから、中学校の時同じクラスで、生徒会長をした男子にはっきり伝えた。
「私はあのクラスで辛かった」

私は、配偶者に恵まれた。
でも、孤独であることの辛さは、かつて身をもって経験したことがある。

それ故、タレントのユヅキに友達が出来ない状況が、どんなものかが理解出来る。その気持ちは、痛い程わかるのだ。

南極へ行くという目的で、友達の輪が広まっていくアニメの女子高生。映像を観て、憧憬を抱く。

そして、微笑ましさに胸がキュンである。




アニメ「宇宙よりも遠い場所」
現在NHK Eテレで放映中
(「NHKプラス」で1週間配信中)