【犬吠埼灯台から望む海】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

千葉県銚子市犬吠埼(いぬぼうさき)。
タクシーから降りれば、そこは広い展望台で、周囲一面の海を見渡せる。
日本晴れな青空とのコントラストを成す、その海の色は何と深い群青色であろうか。
波は寄せては反し、白い気泡が絶えずつくられては消えて、繰り返す。


小学校の国語の教科書で読んで、銚子市の犬吠埼を知った。行きたいと思い続けて、半世紀が経ていた。
家からの最寄り駅から銚子市まで、特急列車に乗ってゆく。1500円の普通乗車券区間だ。
総武本線を行く。城下町の佐倉駅を経て、千葉県の内陸部を走りゆく。

海沿いに、風力発電機が数機、並んだ様が見えてくる。灰白色の発電機は、とにかく大きい。見馴れぬ姿の発電機がゆっくり回っている、その威容に言葉が出ない。

そうして銚子駅に着く。銚子の駅前通りは、地方らしいひなびた雰囲気である。地元の商店街が軒を連ねている。
JRに銚子電鉄線が接続している。銚子電鉄の切符は、レトロな長方形の厚紙製である。子供の時に帰った想いがする。懐かしい。

銚子電鉄の待ち時間がもどかしく、予定を変更して、犬吠埼までタクシーに乗ってとばした。

犬吠埼の展望台に降り立つ。踏み固められた土面の、広い展望台には、カップルや家族連れがけっこう多勢いる。
敷地内には、白い灯台が佇む。主人は灯台に興味がある。中を覗いたところ、階段があるので昇ってみることにする。
灯台中の渦巻き状の階段、120段を昇ってゆく。もう、「ひーひー」である。上から降りてくる人とすれ違うのに、ぎりぎりの幅の階段だ。
人とすれ違う度に、螺旋の軸側の壁にぴたりと体躯をすり寄せる。

昇り切った頂上からは、足もと一面に海が広がっている。

海の醸す表情には、しばし驚く-
...近海の波の渦巻く様子。数々の波の渦巻きの様子に、心動かされ目を見張る。
群青色の波に、白い気泡が泡立つ。その近辺には、焦げ茶色の岩肌が覗き見える。
冷たい風が吹き凍える中、ほぼ日本晴れの青空が広がる。群青色に、あるいは碧色に映える、此処太平洋の色深さ。
 360度の展望迄はいかないが、私の背後にも、さらに太平洋は広がる。

灯台の頂上は、風の吹き付ける寒さで、暖かい場所へと戻りたくなる。灯台の内側の階段を、再び降りてゆく。下る分には、昇りより楽である。そして、じきに地上へと着く。

小規模な展示室内を観覧する。各種サイズの電球が展示されている。
灯台が海を照らしている電球を、初めて目にした。それは円く、そしてとても大きい。

海上保安庁所轄の、航行する船舶、「巡視船」の模型がある。
主人は、興味深く船舶の模型に見入っていた。主人はミニチュア模型が好きなのだ。

灯台を出て、銚子電鉄の最寄り駅までの道を散策する。展望台には、魚料理の店など、多くの食事処が軒を連ねていた。
行きがけに、急いでマクドナルドでお腹を満たして来たのだが、その必要はなかった。惜しいことしたかな?
 
目的地・犬吠埼を見ることは叶った。あとは、遠路はるばる来た道のりを、引き返すのみ。

腰をいたわって、グリーン車に乗る。
長く単調な道のりだったが、身体の方は快適に、帰路につけた。