Netflixドラマ「Atypical」(邦題・ユニークライフ)シーズン2の大成功ぶり | 海外生活・国際恋愛カウンセリング

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海外在住のみなさん、こんにちは。

Netflix、見てますか??

 

ドラマ「Atypical」のシーズン2が、つい最近リリースされました。

自閉症スペクトラムを持つ高校生のSamと、家族を中心としたホームコメディです。


 

シーズン1からこのドラマが大好きだった私。

 

ASD当事者として、単純にアメリカのホームドラマで自閉症が正面切って取り上げられるというのが嬉しかったですし、Samの描かれ方も笑いがありながら愛に溢れていて、すごく見た後にあたたかい気持ちになりました。

 

シーズン1では「恋愛をする(彼女を作る)」という目的に向かって奮闘していたSamが、シーズン2では高校卒業後の進路を決めるべく奮闘します。

 

テーマは、Samの自立。

過保護になりがちな母親のElsaのアドバイスを時に退けながら、初めて銀行口座を開きにいき、一人でASDの自助グループに参加しに行き、別の高校に転校した妹に頼らず高校生活を送りはじめます。

 

その過程で、「困ったら誰かに助けを求めていい」「時には嘘も方便」「自分の気持ちがよくわからない時があっても、それもOK」ということを学ぶSam。

 

曖昧でルールが必ずしも存在しない現実に翻弄されながらも、生きていく術を身につけていく様子が描かれます。

 

ただし、私がシーズンを全部見終わって「やるな・・・このドラマ・・・!」と感じたのは、Samの成長物語の部分ではありません。

 

Samがいろいろとユニークなのは当然なんですが、それ以上に、このドラマの脇役たちが濃すぎます。特に、Samの家族。

 

1、母親のElsaは、Samに一心の愛情を注ぐあまり心配性になりがち。でも、それだけでは終わりません。

家庭での役割に疲れた心が、Elsaをバーテンダーとの不倫に走らせます。最後には不倫を終わらせますが、キスを娘のCasey(Samの妹)に目撃され、家庭は崩壊の危機に。

 

2、夫のDougは過去にはSamのASDを受け入れることができなかったという事実があるものの、一見とても「フツー」に見える、良きパパで良き旦那です。

 

ですが、シーズン2ではDougにも迷い心が生じます。「ええー、あのDougが、そっちの道に行っちゃう?」と、見ている方はハラハラ。

 

3、Caseyは反抗期真っ只中だけど、ごくごくフツーの女子高生。

彼氏とのことや、高校の人間関係で悩んだりしますが、その悩みはSamと比べたら、ものすごくフツーの高校生の悩み。

 

Caseyの「定型」ぶりは際立っている。。。と思いきやです。ちょっと待ってください! シーズン2のCaseyからは、それまでに明かされなかった意外な一面が明らかになります。

 

4、そして、私が大好きな、Samの親友、Zahid。

 

Zahidは、このドラマには欠かせない、結構大切な存在です。ASDを描いた作品は映画でもありますが、友達がいない・もしくは友達作りに悩む主人公として描かれることが、これまではほとんどでした。

 

Atypicalでは、ZahidはSamに自然に寄り添うごくごくフツーの友達として描かれています。これは結構画期的なことですね。私が所属しているASDの当事者コミュニティでも、Zahidの存在を素晴らしいと評する声は高し、でした。

 

 

お調子者だけどフツーのZahidにも、フツーでない部分があります。禁断の行為を止められないという秘密が明らかになるシーズン2。まあ、それもZahidらしいといえば、そうかもしれませんが。。。

 

さて、以上のキャラクターたちの全員の共通点は、

 

・最初はごくフツーの人として登場

・シーズン1→シーズン2と話が進むにつれて、フツーでない部分が明らかに。

 

という点。

 

面白いですよね。多分、通常のドラマは、こういうキャラクター設定が後からブレるようなこと、あまりしないと思うんです。

 

おそらくオーディアンスは、それぞれElsaだったり、Dougだったり、Caseyだったりに感情移入しながら、シーズン1を見たはず。

それなのに、シーズン2では、オーディアンスを置いてきぼりにするかのように、次々と「あれ?」な新事実が発覚するんです。

ホームコメディなのに、「もう、ついていけない!」って思う人、結構いたんじゃないのかな?なんて、勘ぐりたくなるぐらい。

 

(Samの心理カウンセラー、Juliaに関してもそう。スペクトラム上の者としてSamに感情移入し、カウンセラーとしてJuliaに感情移入しながら見ていた私ですが、Juliaが「感情大爆発」したのに素でドン引きしてしまい、途中まで「Juliaアリエナイ。。。」モードになっていました)

 

でも、このドラマの狙いは、まさしくそこなんですね。

誰もフツーじゃない。誰も完璧じゃない。

 

シーズン1の初回で、「僕がフツーの人なら良かったのに」というSamに対して、CaseyのボーイフレンドEvanは「フツーの人なんて、誰もいないさ」と返します。

 

この「フツーの人は誰もいない」が、ずーっと通奏低音のように鳴り続けて、シーズン2では、壮大なファンファーレになっている。

 

そして、そんな「誰もがへんな人たち」のファンファーレの中で、Samのユニークさだけが、シーズン1と変わらず安定している。という、謎のホッと感。

 

そんなネガポジの反転が見られるのが、Atypicalが「フツーのホームコメディ」でないところ。

フツーが変になり、変がフツーになるこの世界観を通して、自閉症と定型の境目って一体なんなんだろう?と、考えさせられます。

本当に、素晴らしいです。

 

シーズン2では、その他にも、Samの自助グループに実際のスペクトラム上の役者さんを起用したり、2016年に起きた路上で自閉症患者をなだめていた療法士が警官に誤って射殺された事件を下敷きにしたエピソードがあったりと、かなり自閉症に関するリサーチが盛り込まれています。

 

私は、Elsaがスペクトラム上の人物寄りになってきているのが、リアルだなあと思いましたね。シーズン1では、Samの両親は2人とも定型、つまりスペクトラム上のどこにも位置していない非ASDのように見えたので。

 

もっとも、ASD の子どもを持つ映画評論家の方なんかは、シーズン1からElsaの強迫観念的なスケジュール管理からして「彼女自身がスペクトラム上にいるのは明らか」だと言ってましたが、うーん。私はわかりませんでした。いわゆるコントロールフリークの母親という設定なのかなと思いましたし。

 

ともかく、AS脳に関する作品の中では、私はAtypicalが今の所、一番お勧めできる作品です。

ぜひ、ご覧になってください。

 

 

参考記事:

自閉症スペクトラム(AS脳)はわかりにくくてわかりやすい

発達障害者に良いことは全ての人に良い(脳の機能の障害について・自閉とは何か)

人の気持ちがわかりすぎる、HSCとAS脳について

「自分から遠い人」に呼びかける言葉は、あなたをやわらかくする(外国人・発達障害者との付き合い)

フランス映画「Le goût des merveilles」

メキシコ映画 El Jeremias

 

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