それは去年の秋の三者面談だった。学年平均偏差値48の迷門進学高に通う高2男子はついに言った。
「先生 どうしても東京のあの国立○大に行きたいのです!無理ですか?」
先生は困ってしまった。そして重い口を開いた。
「君は自分の模試結果をこれまで1度でも真正面からじっくりみつめたことはあるのか?」
沈黙が1..2分続いた。
先生が再び窓の外を見ながら言った。
「君がプロポーズをしたのは街でも評判の美人 うちの高校でも開学以来と評判だ。一目惚れをした気持ちはわからないでもないが、君は1度でも自分の顔を鏡で見たことがあるのか?」
横にいた母親が突然ハンカチを取り出しで顔を覆った。
「あ!母ちゃん泣いてるの?」 その男子は大好きな母ちゃんを気遣った。
母は必死で笑いをこらえていたのだった。 監督