三者面談の朝
私は冷めた味噌汁を飲み干して
愛想笑いをしながらお母さんに
「じゃあ・・今日の午後よろしくね」と告げた。
いつもより一本早い電車に乗り
その朝はスクールバスに乗らず
学校に続く橋を一人歩いて登校した。
暗記メモに眼を落としながら・・・
三者面談の午後
担任の先生は一度も私の顔を見ずにただファイルに目を落としていた。
時々PCのスクリーンに映る私の模試結果をのぞき込んでいるようだった。
そしておもむろにこう言った。
「国立は無理だ。○×大とか△×大はどうかなあ」
全く聞いたこともない大学の名前だった。
後頭部をドンと殴られたような衝撃を感じた。
それから後のことは一切覚えていない。
三者面談の後
駅までお母さんに送ってもらった。
お互い一言も話さなかった。いや何も話せなかった。
隣町のパート先へ慌てて戻るお母さん
私はJRの駐車場に立ったまま、お母さんがおじいちゃんからもらった高齢者マークがべったり張り付いた軽自動車が見えなくなるまで見送っていた。
言わないで慰めは ただ涙を誘うから・・・
触れないで模試結果には 心が乱れるから・・・
監督

