この川縁りを歩くとあの日を思い出す。
それは高3のクリスマイブだった。
長岡は今夜のように雪が舞っていた。
二人はリバーサイドにある小さなカフェに入った。
お店の中は軽やかにクリスマスソングが流れ
隣では私服のLong-Hill High School(長髙)のカップルが楽しそうに話し込んでいた。
店内には紅茶とスウイーツの甘い香りが漂っていたけれど
二人は目の前に並んだケーキとお茶に手を出すこともなく
ただ黙って向き合っていたっけね。
降り続ける雪のせいでやがて夕陽が消え入りそうになった。
お互いに言葉をかけることもなく
テーブルの上においた携帯に映る結果結果をうつろに見つめていた。
あの日、私たちの受験が終わったと感じていた。
二人はただ黙って向き合っていた。
何も言い出せずに向きあっていたっけね・・・
2人が会うのはあの日が最後になった。
一回も休まず受け続けた模試
大量の課題と土曜登校
そして国立進学だけを声だかに叫ぶ教師達
思えばはかなく過ぎた時間だったような・・
それでも二人が会っているときは幸せだった。
今でもそう言い切れる。
出会えて良かったね。
ただあの日、
Eに震える私のそばにずっといて
「模試結果なんかどうでもいいよ」
とだけ言って欲しかった。

