会社を辞めて20年近く経ったが今でも会社時代の部下や後輩が東京から会いに来てくれる。後輩と言ってもなかには大企業の役員や優秀なエンジニアもいる。今日は会社の指示でレーザー研究のためアメリカの大学院に留学した事もある後輩の話だ。
息子が小学生の頃、リトマス試験紙の色が変わるメカニズムを知りたいと、学校の先生に聞いたが答えが無かった。帰ってきて「どうして色が変わっていくの? この紙に秘密があるの?」と聞かれて上手く説明できない。化学変化のプロセスなど知りようがない。そこで彼にメールを入れたらすぐ絵がついた説明を送ってくれて息子は大喜びだった。「僕、実験家になる!」としばらくいろんなコップや器具を集めて実験を重ねたことがあった。
彼は神奈川の名門高校で東大理学部がA判定だった。誰もが疑わない実力だったがなぜか滑った。当然周りは浪人を強く薦めたが躊躇無く滑りどめの早稲田理工に進んだ。彼が言うには
「別にどうってことないですよ。早く大学生になりたかったというか・・あまり、東大に未練はなかったですから。」
こういう地頭をもっているやつがいる。受験生でほんの数パーセントだろう。だからそうでない人はこつこつお勉強を積みあげてそれなりの進学を目指すべきだと思う。彼のすさまじい知的興味や、発言の端々にでてくる頭の切れを知るものとしてはつくづくそう思う。一体彼はどんな高校生だったのだろうか・・・
一度高校時代を参考までに聞いてみたことがある。
「どうやって勉強をしたんだ、高校時代、おぼえているか?」
「はい、教科書と先生の作る資料だけでしたね。結構いい高校だったの周りの生徒のレベルも高いし、先生の授業がとてもよかったです。」
「塾とか通信とかは?」
「まったくいきませんでした。というより必要がなかったような気がします。昔のことですけれど・・・」
教育(学歴)は遺伝するとも言えなくもない。兄は千葉大で薬学博士だし、たしか彼の御父上は京大工学部だった。こいつの特徴は興味!それが原動力になり、専門書でも語学でも勉強することが負担にならない。浦佐に来ても観光に連れて行くと飾ってある資料を隅から隅までずっと読んでいる。「これは面白い!」と連発し逆に説明してくれるんだ。
そう言えば新入社員の頃、彼は会社の寮で毎晩勉強をしていた。畳の上に小さなちゃぶ台を置いて、積み上がった専門書と英語の本(留学を目指していた)を黙々と読んでいた。一方、営業マンだった監督は午前2時ころまで酒を飲んで寮に帰ると、こいつの部屋に行って勉強の邪魔をした。とんでもない寮長だったな。彼は毎日お勉強、監督は毎晩お酒、大きな差だなあとつくづく思ったな。
信じられないと思うだろうが昨日来たメールの最後にこう書いてあった。
「re-skillingで、毎朝Scientific Americanという技術雑誌を、図書館から借りてきて読んでいます。技術・英語・特許の重なる領域で会社に貢献出来ればと思っています。」
すごいなあ・・・お勉強のできるやつは・・・
つくづくそう思う。
会社もダメだな。こいつこそ技術のTOPにすえるべきだ。社長さんよ、わかってるかい!!!
監督 JAみなみうおぬまのトイレにて


