監督の場合、高校生は個人指導がほとんどでなぜか女子が多い。女子の方がお勉強熱心ということかな。今日は思い出に残る一人の高校生のお話。

 レインボーランゲージハウスを設立して間もない頃、大学教授であった米国人の妻の名前が売れていたのでEnglish Comunication部門は2年目で100人近く生徒が集まっていた。一方、塾の方は頼まれた場合のみ監督ができる範囲で教えていた。それは会社を辞めて兵庫県から母親に引っ越してもらい自宅介護をしていたためだ。あるとき地元のとてもお世話になっている夫婦から相談があって、そこの高1の娘さんの英語の校内順位が下から数えた方が早いということでなんとかしてほしいとたのまれた。ところが夜は介護、それに急拡大のレインボーに妻はかかりっきりで子供の世話も監督がしなければならず教えたくても時間がない。突然「何時でもいいですよ ZOさん(監督のこと)!」と夫婦そろって言うのだ。監督は教えたかったし、成績を急変させる自信があったから「じゃあ朝の6時とか7時でもいいですか?」 その親は間髪をいれず「もちろん!」 娘さんはそのとき学校で勝手に我々で決めちゃった。まだ娘さんとはあったこともなかった。

 

 週1回平日朝、登校前にレッスンを始めた。中学で1番とか2番だったからとても良くできた。何より感心したのは、この高校は小テストや課題が山のようにあるのに、生徒は早朝から機嫌が変わらず力も抜いて授業についてきた。自然ないい関係がすぐ構築できた。特にこいつはできると思ったのは、基礎が曖昧だから「中3の教科書まだもってるかい」と聞くと“はい”と立ち上がって本棚から即出した。英語だけでなく他教科も中学の教科書を並べていた。こういう子供もいるんだなあと感心した。監督だって今でも中学の英語教科書CROWNを1分で出せるよ!!!

 

 1番の思い出はある朝の出来事。いつも通り上がっていって部屋をノックしたら返事がない。お父さんがすっ飛んできて「いいです!入っていってください。」って言うのだ。「寝てるなんてとんでもない!」っていいながら。もう生徒との関係がバッチリだったから、笑いながらもう1回ノックして「おはよう!○○○起きてるか?」

すると「ああ すみません!」といいながらパジャマのまま出てきた。それを見てみんなで大笑いした。娘は眼をこすりながら部屋に戻り、監督は準備ができるまでしばらく待っていた。おそらく朝の2時3時までお勉強をしていたんだと思う。

 その日も何もなかったように自然にしっかり朝日の中、2人でお勉強をした。この生徒がここまで信頼してくれていると思うとうれしかったな。同時に馬力があるんだな、こういう生徒は。監督のいうところの“お勉強馬力”。だから指導すれば決定的に伸びていく。潜在的なPOWERをもっているから。半年もかからず学年で一桁のレベルまで上がり、その後希望の国立大(新潟大学よりずっと上)にすすんだ。高3のときは余裕があったからEnglish Communicationの受講もして、夏休みなどはレインボーのクラスアシスタントまでしてくれた。

 

朝の6時のレッスン パジャマ 学年下位から上位一桁 全て作り話みたいだけれど本当の話。いつも言うように「インディアンと監督 ウソ 言わない!」

 

 この生徒は今2児の母親となり東京に暮らす。この間久しぶりに会って「○○○のこどだから子供たちきっと将来はお勉強ができるよな!」っていったら「そう願いたいですが、それぞれ適性がありますから、しっかりみていきます。」と答えた。相変わらず冷静だ。なぜあんなに英語が高1のとき悪かったかは理由がある。中学の時、いい加減な授業と簡単な試験を暗記だけで乗り切り、基礎構築のための理屈とのバランスがとれていないまま英語ができると勘違いしたからだ。理屈が整備されていなければ高校の英語、特に長文は無理。

 

 パジャマのまま目の前にたった時、普通はこんなこと絶対ないよなと思いながら笑ってみていらていられたのは、あの生徒を信頼していたから。そして一緒にゴールにむかって走っていたから。まあチームメイトみたいな感覚があったかな。

懐かしく思い出すな。とても大切な思い出のひとつだから。

 

レインボーランゲージハウス

塾部門 アップリフト監督