一日60個の英単語をひたすら裏紙に書いて覚え、アプリは使わない。電子辞書は買わなかった。姉の使ったジーニアス第4刷をもらった。辞書を引くたびに姉の残したマーカーを見ながらその努力に感じ入る。家計の事は心配しなくていいから、そのかわり目標の大学に行けるよう頑張れと口数の少ない父ちゃんが言ってくれた。横で母ちゃんがニコニコしてうなずいていた。出来得る事とそうでない事があるだろう。しかし折れないで毎日を無駄にしないで頑張っていこうと思う。うちの家族はみんなお互いのことを思って頑張っている。大好きなこのスパイクだって姉が「自分のお小遣いを回してくれ」とあの日そう言ってくれたから買ってもらえたのだ。
チャラチャラした生き方はしたくない。不器用でいい。野暮と言われたって構わない。しっかり自分の弱さといい加減さと甘さを見つめながら諦めずに高みを目指したい。
「こんなふうに思います。」とあの夜たまたま授業のあと監督に話したら、監督はしばらく黙っていた。そしてこう言ってくれた。
「いい家族だなあ。感謝しろよ。それから○○よ、あせるんじやない。いいな!」
「はい!」と自分に言い聞かせるように気合いを込めて返事をした。
監督

