入会した1年の3学期の成績は200番台、そこからのスタートだった。模試の成績をさかのぼって見てみると、2年1学時点で学年100番台後半。偏差値40前半。それを見て直後に国立をあきらめて私立に絞るよう指示をした。同時に数学の受講をやめさせて英語を個人指導に切り替えた。「はい」と一言だけ返事を返した。この瞬間「ああこいつは必死でついてきている、」と強く感じた。親の応援姿勢も徹底していた。親がどう子供と接しているかはほぼ掴んでいた。早い時期に国立を断念しろと言ったわけだが、のちにきいたら「あの時は辛かったです。」とぽつりと言った。
  2年の11月から教科書レベルを終えて受験対策に入った。英語の基礎構築にかけざるを得ないレベルからのスタートだったから受験対策のスタートが年末にずれこんだのだ。仕方ない。それでも結局は基礎の問題だから、最後は勝つ.間に合わせる!監督自身、自分に言い聞かせた。2年3学期で100番を切り偏差地50を超え、3年1学期にやっと10番台で全国偏差値60を超えた。人は順調だと思うかもしれないが、その時点で「ここ数か月が勝負になる。要の英語で首位になれなければ希望校は無理。諦めよ。」と話した。こいつらしく「はい」とだけこたえた。そして3年夏の記述でトップに立った。あの日、この生徒は授業の日では無かったが、階段を駆け上がってきた。

「よくやった。」と監督より背の高いこいつの頭をナデナデしたが我々の顔は全然笑っていなかった。当然の結果だし、まだまだ先が長い事を感じていた。同じ模試で同点だった長高の生徒の校内順位は確か80番だった。その後加速しすごい勢いで勉強を続けた。週2回の個人授業とその他にネットでもう1時間指導した。「間に合わないかもしれない。急に上げてきているからいずれ伸び悩むだろう。努力をすればするほど苦しい時が来る」とわかっていたから、親にはもうその時点で合格確率を伝えその厳しさを共有した。


 そして受験がやってきた。第1希望のみ取れなかった。なぜ私立文学部の最高峰を取れなかったのか? 時間だ。そして長高に行かなかったからだ。そうはいっても全科目平均で偏差値が66を超えるところまで来ていた。 だから当然のように他の大学はとりきった。そして納得してその一つに進学した。

こいつの成功は志の高さゆえだと思う。

 受験生の諸君、特に1年生、志を高く持って進む事の尊さを声を枯らして君たちに伝えたい。今日の目標が明日変わったっていいんだ。高い目標を定めそれに向かう、自分の意思で苦労を積む、そして己の愚かさ加減を知り、悔し涙を流し、しかしそれでも絶対進みたいとますます目標に恋焦がれる・・・そして心に「頑張ろう、諦めない、絶対やる」と誓う。


どうだい?そういう受験生活はやってられないだろうかな、ヤッパリ無理があるかなあ・・・監督はね、いっぱい見てきたし一緒に走り続けてきた。 成功するもの、失敗するもの・・

仮に第1希望に届かなくても目標が高い奴は努力を積むから失敗したって必ずそれなりに勝ち取れる。一方その反対に何もせず、ろくな勉強もできず3年を迎えやがて直前の冬が来る多くの受験生たちのいく先は見えている。志のある奴はその他大勢組みとは根本的に歩む道と覚悟が違う。決してくじけない強さがある。それは自分で決めた高い目標があるから。その目標があると決して最後まで自分をあきらめさせないから。

志を持って目標を高く掲げて学ぶことの大切さ…

走り続けろ 目標に届くまで。君が今日もグランドに出て走りこむのであれば最後までそばについている。

監督だから・・・