監督は、自分も生徒たちのように椅子から転げ落ちそうになるほど笑ったり、手を叩いて爆笑してみたいとおもっている。 関西出身なので日常的に冗談まみれでないと苦しい。だからこの地域は真逆なので困る。
おとつい中2女子の個人クラスで一次関数を教えていた。 実力問題をみせて
「○○○ちゃん、これやってみて。」
「はあい。」
「時間かかってもいい。待ってるから。鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギスの心境ね!」
「あ!徳川家康でしょ。」
「そう。だから出来たら言って。まずこの問題からね。」
待ってる間、普段は教材室に行ってずっと教材を見ているんだが、その夜は目をとじて腕を組んで「冬の特別講習中、生徒のみんなが関数をわかっていなかったなあ。補強がいるなあ」と考えこんでいた。10分近くたったろうか。半分寝ていたかもしれない。
どこからか「ホーホケキョ・・ホーホケキョ」と聞こえるんだ。
横をみてみると生徒がシャーペンを置いて答案を見つめながら「ホーホケキョ」と鳴いている。しかも右手を上下させながら。
監督はそれを見て
「こいつ、とうとう頭がおかしくなったんだ。」と思ったが、すぐ気付いた。
「あ!そうか。 さっき徳川家康の話をしたから。」
その生徒は監督を見ずに答案を見据えたままひたすた右手を上げ下げしながら「ホーホケキョ」と繰り返す。
数秒間、じっと見つめていた。生徒はやめない。そして監督は吹き出した。椅子から落ちそうなくらい笑った。
「○○○ちゃん、あなたは大物だよ。だって監督をここまで笑かしてくれる(関西弁)中学生はめったにいないから!」
そう言ったら鳴くのをやめ、視線を監督の方に向けた。
○○○の目は「やったー!」というかのように輝いていた。
その日の笑いはまだ続いた。だって問題を解くたびに「ホーホケキョ」っていってくれるんだ。面白い子だ。 ○○○は長高を目指している。 ここまでセンスがあるんだから受験なんてわけないさ・・・頑張って!
監督

