受験は団体戦だって?

「冗談は良子さんにしてよ!」 と監督はいいたいのよね。

こういう信じられないことを真顔で言っている教師がこの辺にいるという。

こんな高校ではきっと生徒たちの間では以下の日常会話が模試のたびに繰り返されていることだろう。

 

「あたし数学で30点余ったから、瞳ちゃんにあげるぅ。ガンバ!」

「ありがとう。あと20点あると判定が上がるんだけど・・誰か余っていないかなあ。」

「それなら、良子ちゃんにきいてみたら。英語190を超えてるらしいよ。早くたのまないと誰かにあげちゃうかもしれないよ。」

 

別のクラスでも男子が大学受験団体戦に参加している。

「おれ 駿台ボロボロでもうだめだ。数学の偏差値は50切った。国立は無理かな。特に難関はお話にならないよ。数学を捨てようかな。私立にするよ。」

「ほんと! まろ君 今言ったこと嘘じゃないよね!。それならわたしに40点ちょーだい。ね! いいでしょ! ねえ まろ君ってばぁ。 私立にかえるのなら数学の点数はもう要らないから」

「うん・・まあそういえばそうだけれど・・」

「受験は団体戦よ。みんなで協力して頑張らないといけないって先生が昨日も言ったじゃない!だから40点ちょーだい!お願い。」

 

こういう価値観の高校には「点数交換室 (べや)」がある。 長引く低競争率のせいで部屋と机と副担任が余っている。 壁には「受験は団体戦だ」とへたくそな筆で書いた色紙が飾ってある。 そこに点数をもらった生徒たちが毎年サインを書き込んでいく。

だから校長が書いたその色紙はサインだらけで何が書いてあるかわからない。

 

合格発表の日がやってきた。

「やったー!もう最高。点数をくれてありがとう!」

もらった方が歓喜の叫び声をあげ

「・・・・・・・・おおお・・おめでとう・・・」

点数を差し出したほうが大学を滑って苦渋の表情を浮かべている。

 

そこに男性教師と女性教師が華々しく登場する。

まず女性教師がハイタッチをする。

そのあと男性教師が双方の生徒の肩をだき興奮気味にこう叫ぶ。

「よくやった。すばらしい。助け合いささえあった勝利だ。

団結して戦ったみんなの勝利だ!

 

こういうことだから、競争率がさがり進学実績も低迷するのだろうな。

受験は人に勝ってなんぼの世界! 協力してどうするんだ! 競争だろ!

                       団結してどうするだ!粉砕だろ!

                       協調でなく孤立だろ!

                       

受験は、孤高で崇高な個人戦なんだ!

どうやって受験を団体戦で戦えるんだ。スポーツみたいなことを言うんじゃないよ。

                                                       監督