なぜかあの日は2人とも口数がすくなかったね。
六日町大橋を渡る時、魚野川の川面から吹きあ上がる風がやけに冷たかった。
その風が君のJETーBLACKな髪を幾度も巻き上げる。
片手で髪を抑える君の横顔がなぜかフェイドのかかった映画のようだった。
音が消えて君の横顔に引き込まれていく僕がそこにいた。
公園についていくつかのベンチを通りこして
黄昏時の銭がぶち公園を僕たちは歩き続けた。
君の瞳に夕陽が映える。
風が冷たくなってきた。そのせいか君を少しだけ震えているようだった。
僕は思わずつないだ手を放して肩を抱いた。
君が立ちどまって僕の方を見つめる。
初めてのキスの瞬間だった。

