部活まで辞めて受験勉強を頑張ると心に決めて早1週間、これまでと全く違う高校生活を始めたE判定の雪ちゃん。ある晩不思議な夢をみた。神様があらわれたのだ。
そうレインボー大明神様だ。
レインボー大明神さまがおっしゃるには
「雪ちゃん、おまえは心根の優しいとてもいい娘だ。だからついておいで。」
身体がうくようにパジャマのまま大明神様のあとをついていったら金色の野原にでた。そこに大きな蔵が4つ建っている。
大明神様 「雪ちゃん、どの蔵でも一つお前の好きな蔵を授けよう。」
雪ちゃん 「一体何が入っているのですか?」
大明神様 「まず1番左端の蔵はA判定がいっぱい詰まっている。これで雪ちゃんお前はどこの大学も行ける。2つ目は隣のクラスの雪ちゃんが大好きな男子の愛が詰まっている。これさえ手に入ればあの男子はおまえのものだ。3つめはお金がうなるほど詰まっている。もう一生あそんでくらせるぞ。」
「1番右端の少し色の変わった倉は何が詰まっているんですか」
「あれは元気がいっぱいつまっている。あの蔵の中にすわって願いをかければどんな病気も治って元気になる。ただし1回だけだ。」
雪ちゃんはA判定が喉から手が出るほどほしいし、隣のクラスのあの男子は雪ちゃんのあこがれだ。校内きっての秀才でもある。雪ちゃんはその男子を見るともう固まってしまうくらい好きなんだ。それにお金も欲しい。服も買いたいしたまには東京にもいきたい。でも兄弟も多いしうちにはあまりお金がないからいつも辛抱をしてきた。」
そのうち大明神様が空中に浮いた。「雪ちゃんどうするのじゃ?選びなさい。一つはかなえて授けよう」
雪ちゃんは眩しいくらいに光り輝く衣を着て空中に浮きあがっていくレインボー大明神様をしっかり見上げて大きな声ではっきり言った。
「大明神様、1番右の元気の詰まっている蔵をください。」
「雪ちゃんお前はすこぶる元気だ。お前の必要なものは学力じゃないのか、それとも恋ではないのか?なぜ元気の有り余っているお前が元気の蔵なのじゃあ!」
「入院している大好きなおばあちゃんの病気がよくなってもう1度一緒にくらしたいのです!」
「見事じゃ・・・雪! わかった。あの元気の蔵はソチのものじゃあ。婆とともに達者でくらせ。監督の言うことをよく聞いて半分くらい疑いなさい!よいな!しっかり受験勉強をするのじゃ。」
「はい!ありがとうございます!」
ここで監督は目が覚めた。いつもぺちゃぺちゃになっている低反発枕が若干膨らんでるし湿っている。きっと雪ちゃんの夢を見て涙がこぼれていたせいだろう。
おばあちゃん思いの優しい娘だ。願わくばもうちっと(ちょっと)お勉強ができればいいけれどなあ・・・
監督


