「なんでだあ。一つきまっているじゃないか」

「お金を借りて母親は行かせてくれるんです。そこまでやってくれるんだから浪人してもっと上に行きたい・・」

1時間ほど話した。その中で

「かりに今きまっている大学にいったら関東圏で働くことになる。お母さんはお前に帰ってきてほしいのか?将来」

2秒もかからなかった。無口なこいつが即答した。

「そうなったら母を呼びます。俺のところに来てもらいます。」

お母さんと弟の3人家族だ。こいつはまだ17歳で大学受験の真っ最中だ。悩みぬいているさなかの強い母親への愛だった。

浦佐への帰りの車の中で今夜のことを思いだした。17号線を走っていて前が見えなかったのは雪のせいではない。涙のせいだ。

 

こいつは今日も朝から東京に行った。最後の受験となる。何もしてやれないがお参りだけはとおもって朝、八海山尊神社に行ってきた。

                                                     監督