息子へ

 

今朝送った八海山の写真をみて「わーきれい。本物じゃないみたい。」と返信が来た。振り返れば日本を旅立ったのは13歳の夏。二つの文化を背負うお前が米国で教育をうけることは宿命だった。豊かな自然の中で缶蹴りをし、相撲を取り、スキーをし、五百を超える紙芝居を見て過ごした新潟の日々はお前の根っこ。その根を十分に張らぬまま異国に旅立たせてしまった。この先どこで暮らそうとも枯れずに根を張り続けてほしい。小さな花でいいから咲かせてほしい。ただひたすらそう願っている。

                                                        父