6倍の公募推薦を乗り切って合格を果たした。まさか通るとは思っていなかっただろう。しかし監督は前の晩に親にも、前泊していた本人にも電話して

「一線に並んで論文一発勝負でハンディーがないからひょとすると受かるかもしれない。」

そうはっきり言っていた。当人たちは信じていなかったと思うけれど。

この生徒は東京に行く前も「いまからいってきます」

試験直後も「今終わりました」とまめに報告をくれた。こっちはこっちッで4回もお参りに行った。

 

その晩浦佐に戻ってきてさっそく2人で論文の内容を検討した。

話を聞いていて1問は「当たった」と思ったがもう1問がパッっとしなかった印象を受けたなあ。

ただ1点気になったことがあった。それは面接での出来事だった。

「監督ぅ・・」

「なに?」​​​​​​

「あたし面接で笑われちゃったんです!」

「なんで?」

「お尻を見せないよう後ずさりして下がって部屋を出ていこうとしたら後ろをみていないのでドアにめちゃくちゃドンとぶつかって面接官の人に大笑いされて恥ずかしかった・・」

監督は面接の時絶対,尻(ケツ)を見せるなとアドバイスするんだ。さらに右手と右足、左手と左足を揃えて後退しなさいと実演までして教えるんだ。

生徒は笑ってみているけどね。こいつはちゃんとやってのけたんだ。

勿論腕は揃えていないとおもうけれど。

 

さあ今日のテーマにもどろう。なぜ受かったか!

論文を読んで評価してくれた教官のなかに面接官がいたんだ。

この子のさわやかで初心な瞬間をきちっと読み取ってくれていたんだ。

人生に対する直向きさ、高齢者へのいたわり、地域の睦、そういうことをしっかり意識して18年間生きてきてそれが論文に表出される、それとバックでドアにぶち当たったこの子の人となりがピタッと重なって高く評価されたんだ。

 

おめでとう 完全な勝利だ!

いい子だ 監督の自慢の生徒だ!

                                                     監督

大学受験生よ!面接でケツを見せるんじゃないぞ!