六高は期末試験が始まっている。レインボーの六ちゃん1年生に学年TOPがいる。準難関国立を目指している。この間の中間試験では数学が満点、弱い英語でも90点を取りきった。合計点数が10教科で900点あり、同じレインボーでも最低のものはこの生徒の半分くらいの点数しかない。六高全体平均で600点もないだろう。わずかに3か月前に同じ高校を受験をして合格した高校生とは思えないくらいの驚愕の学力のばらつきの実態だ。
基礎学力がガタガタにかかわらず、高校スタート時点からお勉強ではなく、部活に週7日も賭ける、試験に最大限の準備をしない、そういうつけが結果にあらわれてしまったわけだ。すぐ2年半先に大学進学という大きな岐路が迫ってくるというのに、そのころには希望も絶望も意欲も失望も何もかも全部曖昧ではっきりしない六ちゃん典型の旅立ちにむかって突き進んでいる。先が見えてるとはこのことだ。
KJにせよ、六高にせよ、ここ南魚沼の高校で生徒間で学力がばらついていることは、進学校としては決定的な欠陥で、それはすなわち競争率が定員に満たないという大きな理由が横たわっているからだ。2次募集を毎年おこなっている悲しい現実がそこにある。長高にそんなものある?
お勉強という軸足に視点を置くと極めていい加減な六高のような高校で、トップを走るこの生徒のように準難関の国立を目指すということは
「自己管理が強いられるから、KJよりある意味大変なんだよ。」とその生徒に言っておいた。
「なぜなら、この先自分で厳しく管理して、受験までひとりでやらねばならないのだから。学校はあてにできないよ。周りに合わせていたらどこもいけないよ。もうよくわかっているとおもうけれど」
「そうですか・・・」
「だけど、お前はある種の才能があるな」
「才能ですか?」
「そうだ。周りに振られない、ぶれないで徹底できる、そういうのは一種の才能だ。六高から国立に進むやつは決まって強い目的意識というか才能がないといけないんだよ。見ていてそう思うよ。」 監督は敢えて「才能」と言う言葉を選んだ。
黙って何回もうなずいていた。
こいつは寡黙だ。そしてとてもかっこいいんだ。高い目標に挑戦している生徒は男女問わずそう見えることが時としてあるなあ・・
さああと2年半、目標にむかって走りきってほしい。だれよりもグラウンドを何万周も走りこんでほしい。ケガもするだろう。限界も感じるだろう。もっとすごい選手を模試でいやというほど見せつけられるだろう。しかし、お前が走り続ける限り大きなステップアップのチャンスは限りなく広がっていく。何とか夢を遂げてほしいよ。こころから応援している!
監督

