ほんの10日ほど帰国した息子が成田から飛び立った。別れ際ゲートに入る直前人目をはばからず息子と抱き合った。190cm80キロの息子と175.7cm同じく80キロの父(監督)が抱き合ってる。息子の80キロは主に筋肉、監督の80キロは主に腹周りの脂肪だ。3年前17歳の時一人で帰ってきてその時も羽田まで見送った。にっこり笑って手を振って息子の姿がまだ見えているところでさっと振り返って別れにけじめをつけた。
妻はいつも辛すぎて空港には見送りにいけない。

振り返れば息子が深雪の里、浦佐をでたのは13歳の夏だった。もう7年が過ぎた。それまでは毎日一緒にすごした。3食共に食べ、走り,缶けりをし、相撲を取り、サイクリングをし、冬は浦佐スキー場に連日連れて行った。小学6年間、1日も欠かさずそばについて勉強をみた。息子の質問にはできる限り調べて答えた。500を超える紙芝居をみせ多くの本を読んだ。映画も毎週見た。うちはTVが無い。だから余計に一緒の時間が多くて幸いだった。

2つの文化を背負っているからずっと浦佐にいるわけにいかなかった。海外で教育をうけることは宿命かもしれない。しかし息子の原体験は紛れもなく日本であり、ここ浦佐である。豊かな自然の中で静かにのんびりとすごした日々は財産だ。その時間が息子の根っこだろう。

これからどこでどう生きていくのか考えた時、根の深さとその時間を考えずにはいられない。突然土も水も空気も変えてしまったわけだから。来週から新学期が始まり厳しい競争に身を置く。枯れずに何とか根を張って咲き続けてほしい。小さな花でいいから毎年春をむかえてほしい・・
空港で見送るたびにそう祈っている。