いつもリュックに一杯教材を積めてKJから走ってレインボーに通ってきた。
せっかく紅茶をいれてあげたのに
「監督ぅー、何ですかこれ?かろうじてお湯に色がついているだけじゃないですか!」
そう言われたKJ女子を思い出す。
長文読解の時間はいつもわらった。
ぶっつけ本番で訳させるから本人は大変だ。構文もさることながら、単語に熟語にいろいろでてくるからね・・昨日思い出しても今日は出てこないことも多々ある。生徒のレベルによっては45分も徳川家康の心境で待つこともある。
この子の場合は一定のレベルを持っているし、時間がもったいないから、こっちが答えを言ってしまう事が多かった。そして直後に
「そうだね。正解だ。よく思い出したね。」
と嫌味を言って突き落とす。
この生徒はやさしいから、毎回ダメージを受けたふりをしっかりしてくれたもんだ。
10歳からの付き合いで監督の気心を娘のように掴んでくれていたから。
ある日英文で訳ができずにつまったから、先に答えを言おうとしたら、大きな声でこう言うんだ。
「監督、ちょっとその夕焼けでも見てて待っててください。すぐ思い出しますから。だめですよ。答えを言ったら!」
思わず噴き出したよ。この娘はとにかくおもしろかった。頭がいい。間違いなくきれる。
監督は窓にもたれてしばらく夕焼けを見あげたんだ。
なんか満足感を味わいながら真っ赤なお空をね。
数分すぎた。結局
「監督、なんですか?これ。答えを言ってください。」
そして一緒に笑った。
この生徒はこの春東京に出た。
念願の大学で法律を学んでいる。そして想定通り留学を視野に夢は膨らんでいる!
明るい未来を実力でつかんだよ。お前の将来にエールを送る!
監督

