ある年の節分の日、浦佐小学校の3Fで4年生の教室に入って机も椅子も殆どすべて引きずり倒して出ていこうとしたら、ある男の子が足にまとわりついて離れない。こん棒を放り投げてこの男の子を引き離し出て行こうとしたら、今度はこん棒にしがみついてはなれない。そこで廊下まで引きずって転がして棍棒をとりかえした。そして5年のクラスに行こうとしたらこの男子が後ろから赤鬼さんに向かって(つまりこの監督にむかって)飛び蹴りをしてきた。
 
もうこうなったら許さない。教育も何もない。こいつをもう一回引き倒して今度は抱えあげてそのまま1階まで抱きあげたまま連れてった、校舎をでて雪の積もった正門のところまで運んでいって雪の上に放り投げて馬乗りになって顔面(お面をしているからだれかわからない)を近づけ低い声で「おいおまえ、このままで済むとでも思っているのか。もう絶対ゆるさないぞ。わかっているだろうな」と低い声を絞り出すようにいった。
するとこの男子は泣きそうになって
「ごめんなさい。もうしません。」と急に殊勝なことをほざくんだ。
校舎の窓から凄い人数が顔を出してみている。教師も何人ものぞいている。あわてて後をついてきたのもいた。多分担任だろう。
とにかく節分にふさわしいのどかでExcitingな、つまるところ素晴らしい節分だ。
そこで監督、つま赤鬼さんは
「よし許してやろう。がははは…」とわらってリリースしてやった。
このがきは飛び起きて走って玄関の方へ逃げた。
そしてある程度赤鬼さんと距離が離れた瞬間、振り返って
「ふざけんなよ。こわくなんかねえよ!」
とかなんとか捨て台詞を吐いて飛んで逃げた。ここでもう一回おいかけて痛めつけるところだったがお面をしているし、抱き上げて3Fから外までおりたからもう息があがって死にそうになっていた。とにかくお面で暴れるとくるしいんだよ。毎年死にそうになる。
そこで成敗をあきらめたんだよ。
 
さてそれから2年たった。ある日、そのやんちゃ坊主がレインボーに入会した。開口1番
「おい●●●、覚えているかい。お前が小4の時赤鬼に外まで抱えられて、つれていかれたろう。あれ監督だったんだよ」
「はい。そうじゃないかとおもってました」と顔をくしゃくしゃにして笑いながらこたえた。
もう本当に嬉しい再会だったんだな。 
 
こいつとはそれから3年間一緒にお勉強をした。たこ焼きをやいたり花火をしたり映画を見たり、イベントの時いつもそばでなんでもできた。本当に頼りになった。親には成績のことのみならず何度もこの子のどこがいい、どこがほかの子供と違うと手紙を書いてほめた。つまり「みどころ」があったんだ。
 
この子はことし大学生になる。
監督