リュックに教科書や教材、それに英和辞典をつめて時間に間に合わせようとKJから走りに走ってその高3女子はレインボーにやってきた。この生徒と始めて出会ったのは小学3年生のときだったからもうかれこれ9年になるかなあ・・。お互い気心が知れているし、長い付き合いだから、余談ばっかりで全然授業は進まないけれどそれでいいのだ!
中学基礎が盤石だから、あとは量さえやればいいとこに行けるはず。

こないだ走りすぎて息が上がってハアハアしている。とても授業に入れそうになかったので
「今お茶を入れてくるから待ってて」とエレベーターに向かった。
「ありがとうございます。」というので
「レインボーにおいてある世界最高級クラスの紅茶だよ!」といったら
「え!本当ですか¡!」と声が弾んだ。

アンならすぐばれるけれど人類だから大丈夫のはずだった。1Fにおりてすぐに紅茶をいれた。立ち上る湯気のそこに琥珀色の紅茶が漂う。しかしムサシで買った1番安物の紅茶だけにいくらティーバックを揺らしても全然香りがたたない。
「最高級とさっきいったからプラシーボ効果のようなものできっとおいしいと思うだろう。」とタカをくくっていた。急いで教室にもどり紅茶を差し出した。
その女生徒はさっそくカップを抱えてうれしそうに紅茶を飲み始めた。

そして3秒後生徒は言った。

「監督、これが世界で最高級の紅茶ですか? かろうじてお湯では無いという最低線のレベルだと私はおもいますけど!」

「ごめん!そこのムサシで買った100個475円の紅茶だ。許してくれ!!」

その生徒は笑って許してくれた。やさしい娘だ・・・

                                   監督