アンが高校に行きたいといいだした。大学受験をめざすという。さあどこの高校にいかせるか・・・即答ができない。監督の子供もその昔どうしようかと先を思案したものだ。結局中学からアメリカに留学させたから関係なかったけれど、南魚沼にいたら相当悩んだだろうな。ここにきてエアンのことで悩むとは夢にも(いや夢で)思わなかったなあ。しっかり今一度近隣高校を精査しないといけない。都知事じゃないが「第3者によるきびしい精査」でもできればなあ。
いろいろ迷っているとエアンの頭の上が青く光って感づかれてしまうから、口笛をふいてごまかそうとした。

「監督、そのヒューヒューはなにだ?」
「口笛だよ。」
「口笛?・・・私はその唇をとんがらせているものがなにかを知っています。」
「え?どういう意味?」
「ひょっとこだ!」
「違う!口笛だ。笛だよ。きれいな音がでているでしょ。」
「監督、ヒューヒュー言っているだけで殆ど音が出ていないです。だからそれはひょっとこだ!」とエアンはかわいい顔をしてさりげなく言うから監督は吹き出した。
いい音は出なかったがとりあえずごまかせたようだ。

レインボーの窓から道を歩く高校生の姿が見えた。エアンがじっとそれを見つめている。
「いきたいのだろうなあ・・きっと」

監督